好きな音楽ほど癒やし効果は大きい
一般的にはヒーリングミュージックやクラシック音楽が「癒やしの音楽」というイメージがある。しかし実際には、懐かしいポップスや好きな音楽ほど心に沁みることもある。音楽と癒やしにはどのような関係があるのだろうか。
そこで、音楽が心身に与える影響について長年研究を続けている牧野クリニックの心療内科医、牧野真理子さんに話を聞いてみた。
牧野さんは、「音楽療法には、今ここで自分が聴きたい曲が一番心身に効果があるという原理があります」と説明する。牧野さんは約500人を対象に「好きな曲」「用意されたクラシック」を聴いてもらう実験をしたことがある。その際、心身への効果を比較した結果、自分で選んだ曲のほうがはるかに効果が大きかったという。
体温上昇、呼吸の安定効果も
音楽がもたらす効果は、心だけでなく体にも変化をもたらすことにも注目したい。
試聴実験でもその変化は顕著にみられる。「呼吸や血圧が安定し、イミュノグロブリンが活性化して免疫機能が高まります。さらにα帯域の脳波が増加し、リラックス感が得られ、脳が気持ち良い状態になります。末梢皮膚温も上昇し、ぽかぽかしてきます」と牧野さんは言う。
上記の「気分状態変化」のグラフで示しているように、音楽の試聴後は、疲労感やイライラ、不安や緊張感を軽減させ、くよくよしなくなる。また、ノイズのない高音質の方が、心の安定感が得られるという。