心療内科医が伝授する音楽選びのコツ

 とはいえ、仕事や恋愛で気分が落ち込んでいる時に懐かしい音楽を聴くと、当時と比較して余計に切なくなってしまうこともある。そこで心療内科医の牧野さんに音楽を上手に取り入れるコツを聞いた。

気分が落ち込んでいる時

 落ち込んでいる時は、気分に合ったあまり明るくない曲を選んで。徐々に明るい感じになっていく曲がベスト。心は音楽に同調していくので、最初は音楽を聴きながら思い切り悲しんで泣いても、最後は明るく微笑むことができるものを。切なくて思い切り泣くことも大変心には重要。

仕事が忙しい時、寒い時

 ちょっとアップテンポで体が温かくなるような曲がおすすめ。温かい部屋で好きな飲み物を飲んで、おうちカフェバーの空間をちょっとオレンジっぽい照明で作り、素敵な体験時に流行っていた曲などを聴くことが効果的。夕陽の色でもあるオレンジ色は、一番心が落ち着く色とされる。

 心療内科医として多くの若い女性と関わっている牧野さん。「心が折れそうなことは誰にでもある。自分だけと思わないこと。しっかり泣いてリセットしたり、信頼できる人に話したりすることも効果的。そこから次にどうしたらよいか自然に分かってくることも多いです。リラックスする空間で、その時頭に浮かんだ曲を聴いてくださいね」とアドバイスする。

 休日前の11月のある日、仕事帰りにおひとりさまでバーを訪れた会社員の30代女性がカウンターに座っていた。思い出の映画音楽をリクエストしていた。「仕事ですっごく疲れている時に来たくなるんです。帰るころには、いつも心がふわっと軽くなります」とほほ笑んだ。何かに行き詰まりそうになった時、「音楽を聴きに行く」というオトナな選択肢を増やしてみるのもいいかもしれない。

文/大楽眞衣子 写真/清水知恵子

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