常に新しい情報が集まるオーガニック店の元祖
東京・青山、表参道のメイン通りから1本入った路地には、オーガニックコスメやオーガニックフードの隠れ家的なショップが点在します。
そんなエリアにあって、オーガニックを愛する人が「最後に帰る場所」ともいえる老舗がクレヨンハウス。作家・落合恵子さんによるお店でオープンは1976年。今から42年も前です。
東京と大阪に店舗があり、東京店は地下1階から地上3階までの4フロア。オーガニックコスメや子ども向けの本、有機野菜などを販売しています。地下1階のオーガニックレストラン「広場」は外国人や赤ちゃん連れのママなど幅広い層に人気。ランチもディナーもビュッフェスタイルで、お天気がいい日は日差しが降り注ぐ開放的なテラスでゆっくりしたくなります。
店で使用する食材は、産地と生産者がすべて表示されています。ランチタイムは6品目、ディナータイムは7品目。ランチはテイクアウトも可能です。ディナータイムには、テラス席でおつまみ1品500円の「居酒屋メニュー」もおすすめ。
お店のスペースを利用して、作り手と訪れる人をつなぐさまざまな催しも実施されています。食肉の生産者を招いての調理方法の講習会や、味噌の仕込み時期である2月には毎年「味噌づくり講習会」を開催。また、リピーターの多い「子どもの本の学校」は30年も継続しています。
歴史は長くても日々新しいこの店ではさまざまな発見があります。普段食べているもの、使っているものをあらためて見つめ直したくなります。
無心に絵を描く、静かな読書…夜カフェの楽しみ
東京・谷中にある「コーツトカフェ+ショップ」では、定休日である木曜の夜に、「夜のクロッキー会」を定期的に開催しています。
クロッキーとは短時間で描く写生。参加者同士が交代で、互いを描き合って楽しむ会は偶数月の第2木曜日の夜、午後7時半から9時まで開催。指導するアーティストの三木麻郁さんに「絵心がないんですが大丈夫ですか?」と聞いてみると、「絵心がないと思っているのは、たぶん、自分の思い込み。少しでも興味があれば、画材や色が助けてくれます」とのことです。参加費は1回2000円(予約制)。どんな会なのかとのぞいてみると、意外にスーツ姿の男性も。仕事帰りに、普段なかなかできないことをカフェ空間でじっくり楽しむのもぜいたくな時間ですね。
やはり定休日を利用して定期的に開催している「夜の読書館」は、詩人の菅原敏さんが主宰。よくある読書会ではなく、店内でのおしゃべりやスマホは禁止。自分で持参した本か、店内で借りられる本を静かに楽しみます。利用可能時間は午後7時から11時まで。普段忙しくてなかなか読書の時間が取れないけれど、ここなら集中して読み切れるという声もあるそうです。店内の書棚には、近隣の出版社や古書店がセレクトした本が並び、購入することもできます。
メニューはオリジナルのお茶や食事が充実。人気の月替わり「コーツトプレート」は食材や調味料にこだわった優しい味です。昼と夜は共通の食事メニューの他、夜限定メニューやワイン、クラフトビールなどがそろっているのもうれしい。
コーヒーを飲んだり食事をしたり、仕事を片付けたりするだけでなく、新しい経験やつながりが増えるカフェ。自分だけのそんな場所を見つけてみたいですね。
・カフェスロー
・ネットワーク農縁
・クレヨンハウス オーガニックレストラン「広場」
・コーツトカフェ+ショップ
文・写真/大崎百紀