「いい子」の自分に疲れたときは

年末年始にじっくり読みたい (C) PIXTA
年末年始にじっくり読みたい (C) PIXTA

編集部:この本が出版されたのは今年の5月と少し前ですが、物事をじっくり考える時間がある年末年始に読むのがぴったりだと思いました。

スー:年末年始って、「いい子の自分」でいることに疲れる時期だと思うんですよね。一人暮らしなら実家に帰省したり、実家暮らしの子は休みで親と顔を突き合わせる時間が長くなって、「結婚どうするの?」なんて聞かれたり。

 「私、このままでいいの?」と悩んだら、この本の章ごとに「自分はどう思うか」を考えてもらえたらうれしいです。その上で、「私が憎々しくも憧れているものってなんだろう?」と、その先を考えてもらえたら。

編集部:スーさんの本に教えを求めるのではなく、自分で考えるのが大切ということでしょうか。

スー:読者の皆さん、きっと「こうしたらこうなれる」って本を、今までいっぱい読んできているんじゃないでしょうか。でも、読むだけでやった気になって、そのとおり実践してないんじゃないかな。私がそうだから、一緒にして申し訳ないけど。

 好き嫌いを決めることよりも、「なぜそう思うのか?」を考えることが大事だと思います。自分はなぜこの前髪にしているのだろうとか、2016年にチャレンジしようと思ってどうしてもできなかったファッションは何か、その理由はどうしてなのか、とか。あとは、今はやっている人達、たとえばEXILEについて自分はどう思っているか考えてみるとか。

編集部:ファンでもない限り、EXILEについて考える機会は、あまりないかもしれませんね……。

スー:正月三が日って、2日の夕方くらいから暇になってくるじゃないですか? そのあたりで、メモ帳片手に読んでみてもいいのかも。お正月のファミレスは意外と空いていますよ! デパートも早くから営業しているところがあるでしょうから、赤い口紅を買ってみるのもいいですよね。

コンプレックスは早めに解消しておくこと

編集部:30代は自分の好きなものを見極めていきたいと思う年代だと思いますが、そのためには、苦手やコンプレックスについても向き合っていく必要があるんですね。

スー:嫌いだと思っていたことが、実際は痛烈に憧れていることだったりするんですよね。やってみること、つまり距離を縮めることで自分の気持ちが分かる。そうしないと「本当はやりたかった」のか「やらないとダメだと思い込んでいた」ことなのか「やってみたら別にたいしたことはなかった」のか分からないですから。モヤモヤっとした嫌悪感は早めに解消しておかないと、結構長いこと足を取られて自分の可能性が狭まると思うんですよ。

文/樋口可奈子


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