自分の中でどう折り合いをつける?

カワイ  総合職の彼女たちからしたら、事務職は「ユル~い」し、「女の子扱い~」なんでしょ。それも一つの“事実”でいいじゃない。事実なんて10人いたら10の事実があるんだから。

 相談者の女性は、彼女のことをきちんと評価した上司がいるからこそ、「責任ある仕事を任されている」んですよね。そこには「キミはちゃんとやってるね」という“価値あるメッセージ”がある。「キミの笑顔が支えてるんだよ」っていうメッセージと一緒。ちゃんと認めてくれている人がいるのよ。

 その人のメッセージを信じなくてどうする? 彼女がやるべきことは、“事務職の仕事をきちんとやること”。詳しい仕事内容は分からないけど、伝票処理や書類の作成でも、その書類を待っている人がいるわけでしょ。その人が笑顔になるような仕事をすればいいの。

 たった一人でも、「助かった! ありがとう!」って言ってくれる人がいたらいいじゃない。そういうメッセージをもらったときは、鼻高々に喜びなさい!

ニケ  でも……お給料が総合職より低いんですよ……。

カワイ  市場の価値と仕事の価値は別。例えば、お掃除の方だって、誇りを持って働いている人はいます。そういう人たちの賃金は、総合職のお姉さんたちと比較にならないくらい低いでしょうね。でも、お掃除の仕事に価値がないか? っていったら、そんなことはない。

 マンションやオフィスをきれいにしてくれる“お掃除のオバさん・オジさん”がいるからこそ、快適に暮らせたり、会社で快適に仕事できたりするわけでしょ? 商社の総合職の仕事より掃除の仕事のほうがよほど日常に直結していて、私たちは価値を感じやすいわよね。

ニケ  そ、そうですね……。

カワイ  だったらお掃除の方に、「いつもきれいにしてくれて、ありがとうございます!」って声をかけなさい。

 有意味感(sense of meaningfulness)という概念があって、これは「自分のやっていることは意味がある」という感覚をいいます。“誇り”も有意味感と同じです。くだらないイヤミをいう総合職のお姉さんのことをアレコレ悩むより、「いつもきれいにしてくれて、ありがとうございます!」って。アナタが“価値あるメッセージ”の送り手になればいいじゃない。

ニケ  わ、私は……誰から価値あるメッセージをいただけるのでしょうか……?

カワイ  ニケさんも、いつもありがとう。アナタのツッコミで、この人生相談の連載は成立しています。はい! 価値あるメッセージ、以上! ちゃんと送りましたよ! どう? 元気出た?

ニケ  なんか猫だましにあったみたいですけど……。でも私、褒められて伸びるタイプなんで、薫さん、ヨロシクお願いします!

文/河合薫、写真/PIXTA

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