“ブラックな一面”が噴出し、嫌がらせをするように

 カワイ 彼が“嫌がらせ”を始めたのは、年下上司のちょっとした一言がきっかけでした。

 彼が頑張ってライバル会社の顧客を取ることに成功して、社長賞に選ばれたのに、年下上司から、「授賞式にアナタは来なくていい、私が行くから」と言われてしまったの。そして、まるで自分の手柄のように、年下上司は賞状と褒美の10万円を懐に入れた。

ニケ わあぁ! それはひどい! でも、そういう汚い上司っていますよね。失敗は部下のせいにするくせに、出世のことしか考えてない、最低のヤツですよ。

カワイ その男性はね、「ナニかが切れた」って言ってました。恐らくそれまでにも、いろいろと我慢していた小さなこともあったのでしょう。年下が上司になってショックを受けていた時に取れた社長賞だったのに、「アナタは来なくていい」って言われて……。心の奥でフツフツしていた“ブラックな一面”が、一気に噴出したのね。

 “陰湿な部下”と化した彼は、わざと会議で年下上司が知らない質問をしたり、「役員会議のために作ってほしい」と頼まれた資料を作り忘れたフリをしたり、忘年会の連絡をわざとしなかったりと、これでもか!っていうくらい幼稚なイジメを年下上司が転職するまでやり続けた。

ニケ ゲッ! 転職って。追い出しちゃったんですか?

カワイ いや、ヘッドハンティングされたみたいね。男性のイジメがきっかけになった可能性はあるけど、タイミングよく給料も高い、いい転職先が見つかったの。

 ただ男性は、ものすごく自分を責めていました。思い返すだけで恥ずかしいって。

 「自分は幼稚でダメな人間なんですよね……。上司には、本当に申し訳なかったと反省しています。今さらこんなこと言ってもどうしようもないけど」って。

ニケ あ~、なんか恐いですね。私もたま~に、ちょっとムカつく後輩に意地悪っぽいこと言っちゃうときあるからなぁ~。