「同僚の男性が先に昇格、私はちっともチャンスが見えない」――今回は、こんな読者の悩みに、健康社会学者の河合薫さんがお答えします。リアル人生相談の連載第6回、スタートです!

あるあるカイシャ事件簿Vol.6
「同じ正社員なのに、女性の私は昇格しない」

 同い年の男性社員が、私より先に「係長」に昇格したことに不満と不安を感じています。
 私は一般事務ですが、業務内容は彼と同じです。ところが、1年ほど前から彼は事務のチームリーダー的な役割を担うようになりました。後輩たちをまとめ、チーム運営も任されています。彼は明らかに優遇されていて、肩書きもつきました。
 私が女性だから、彼だけ係長になったんだと思っています。このままでは昇格も昇給も望めず、将来的に不安しかありません。こんな会社に居続けていてはまずいと思い、もっと活躍できそうな会社への転職も検討しています。正社員にこだわらず、派遣社員も視野に入れています。ただ、転職にも正直、不安で。自分でもどうしていいのか分からず、困っています。
 河合さん、この不安や不満から脱却するには、どうすればよいでしょうか。やはり転職しかないのでしょうか。

(中小企業勤務・正社員・36歳独身)

(c)PIXTA

「女」というだけで、評価が低くなる

ニケ あ~あ、なんかひどすぎる~。だいたいオジさんって、なんやかんや言って仕事デキる女、嫌いなんですよね~。

カワイ ニケさんも、そうだわよね。

ニケ ええ~!? ワ・タ・シ? 私、オジさん嫌いじゃないですよ! むしろ好き!

カワイ ち、違うがな……。オジさんのこと言ってんじゃなくって……。ああ、もういいわ~。ニケさんの相手してないで、本題に入りましょう!

ニケ (シュン)……。はい、“薫先生”お願いします!(笑)

カワイ ただね、ニケさんの言ってることも、半分は当たっているのよね。もう50年以上前になるんだけど、社会心理学者のF・ゴールドバーグがちょっと面白い心理調査をしました。

 全く同じ内容が書かれた論文を用意して、被験者の学生たちに評価してもらう、という実験です。

 実は、ここで用意された論文には、論文筆者の名前の欄に「男性の名前」が書いてあるものと、「女性の名前」が書かれた二つのパターンがあったのね。

 そしたら、「女性名」の書かれている論文の評価が全体的に低くなったの。しかも被験者には、男子学生だけじゃなく、女子学生もいました。つまり、「評価する側の性別」に関係なく、女性名の論文を読んだ人は、論文を低く評価する傾向が高いことが明らかになった。

ニケ えっと、それって、論文の中身は全く同じなんですよね?

カワイ そうです。全く同じ内容です。

 不思議よね。「女性の名前が書いてある」というだけで、評価が男性より厳しくなったんですから。

 これは「評価バイアス」、別名「ゴールドバーグ・パラダイム」と呼ばれていて、人が持つ“偏見”を、実にシンプルに実証的に明らかにした最初の実験です。