健康社会学者の河合薫さんがお答えする、リアル人生相談の連載第10回です。「産休や育児でできた穴をカバーするため、仕事や責任が増える一方。自由な時間が欲しい」という独身女性の悩みが届きました。

あるあるカイシャ事件簿Vol.10
「独身者の仕事量が増えていく」

 独身者と、既婚/子育て世代間の社員との仕事量や質の差に疑問と、憤りを感じています。
 私の職場では、同年代の女性たちが出産と子育てラッシュまっただ中です。産休や育休に入っている人の仕事は、私たちがカバー。結婚した人だと、いつ子どもができるかわからないので、重たい仕事は任せられない。そうなるとおのずと、私のような独身者の負担が大きくなります。重たい仕事から雑務まで振られてきます。
 上司は表向きは「あなたに任せたい」「今後は中核人材になってほしいから」と言いますが、本当は「独身者」だからです。「業務過多の場合は調整するから相談して」と言いますが、「仕事がキツいから軽くしてほしい」「子育て世代との不公平感がある」などと言うとやる気がないように思われるので、なかなか相談できません。
 仕事や責任は増える一方で、正直つらいです。独身でも、自由な時間が欲しい。自己啓発や趣味などプライベートも充実したい。仕事に追われる生活から抜け出し、真のワークライフバランスが取れるようなアドバイスを教えていただきたいです。
(33歳・独身・正社員)
(c)PIXTA

ニケ うちの会社でも、今すごい問題になってますよ。独身はつらい。本当につらい。っていうか、なんで“幸せな人”の仕事までカバーしなきゃならないんですか? めちゃ、不公平ですよ!

カワイ 3年くらい前だったと思うけど、「出産したら女性は会社をお辞めなさい」というコラムを作家の曽野綾子さんが書いたの覚えてる?

ニケ はい! 大炎上したコラムですよね! 覚えてます。「赤ちゃんが生まれたら、仕事を続けるのは無理」って切りまくったヤツですよね。

カワイ そうです。「会社に迷惑をかけてまで、なぜ働く?」「共働きじゃないと生活できないというが、昔はみんな貧乏だった」「保育所に預けるのはおかしい。子どもは親が育てろ」「赤ちゃんが生まれたら退職し、子どもが大きくなったら、また再就職すればいい」……。

 まぁ、よくぞここまで言いますね、って呆れるほどひどいコラムでした。言わんとしていることがわからないわけじゃないけど、時代が違う。ライフスタイルも違う。なぜ、人生の大先輩で、すばらしい仕事を数々やっていらっしゃった方が、後輩たちを後ろから撃つようなことを書くのか。全く賛同できませんでした。

 極めつけは次の一節。

 「彼女たちは会社に産休制度を要求なさる。しかし、あれは会社にしてみれば、本当に迷惑千万な制度。辞めてしまって、ずっといなくなるなら新しい人材を補填すれば済むけれど、そういうわけにもいかない。結局、産休で抜けた人の仕事を職場のみんなでやりくりしてカバーする。そういう制度を利用する女性は自分本位で、自分の行動がどれほど他者に迷惑をかけているか気付かない人」。

 こう言い切ったの。

ニケ うわわあぁ~す、すごい。……でも。でも、ですよ。その……。

カワイ な、何? 何、ためらってるの? 言いたいこと、あるんでしょ? ちゃんと言いなさい。怒らないから~。