ズルい人のために自分の信念まで曲げないで
ニケ 「フォロー大作戦」のいいところは、自分がズルいことをするとか、先輩をおとしめるとか、そういうのがないことです。ポイントは「私のやった仕事に問題はなかったか。もし何かあったならちゃんとフォローします」という、気持ちを大切にすることです!
つまり、これは責任感なのであります。ズルい人はズルい。責任感ある人は責任を全うする。ムカつく気持ちは収まらないかもしれないけど、その気持ちはスイーツでも食べてストレス発散しましょう! ……薫さん、これでどうでしょうか?
カワイ ニケさんの考え方には大賛成です。ズルい人はズルい。確かにムカつくし、許せないかもしれない。でも、そういう人のために自分の信念まで曲げる必要はありません。
以前、テレビ番組に出演していた時に、たまたま忘れ物を取りに深夜のオフィスに戻ったら、アシスタントディレクターの一人が部屋の掃除をしていたのね。私ビックリしちゃって、「いつもこんなことまでやって帰ってるの?」って聞いたら、彼は「はい」って。それで「帰るんなら、車だから近くの駅まで乗せていこうか?」って言ったら、「明日の準備があるんで」って断った。「明日、予定されているニュース項目をチェックしてから帰ります」って言うのよ。
ニケ それってやっておかないとダメなんですか?
カワイ ううん。決まり事ではないです。でも、仕事をスムーズに、かつ質を高めるには、やっておいたほうがいい準備かな。
ニケ 偉いなぁ~、その彼。
カワイ 私は彼とこの時に初めて話したの。何しろ目立たない若者だったし、自分をアピールすることもめったになかった。口数も少なかったしね。でもね、その晩彼が夜遅くまで掃除をし、翌日の準備をしてるって分かってから、何となく彼のことが気になり始めて彼の行動を見ていたら、いろいろと発見したの。
ニケ どんな発見ですか? 気になる~。
カワイ まず、彼は誰よりも早く毎日出社し、打ち合わせの机を掃除していました。しかも、打ち合わせの後は、必ず部屋を片付けていたし、オンエアが終わった後も、使ったものはすべてきれいに片付ける。彼が担当した時の番組の進行表は見やすくて、一切、誤字脱字がなかったの。
ニケ そういうのって……あんまり評価されないんですよね……。
カワイ 彼は実に真面目に、決められたことをミスなくこなし、誰もやりたがらない仕事を文句一つ言うことなく、当たり前のようにやっていました。
確かに、ニケさんが言う通り、そんな彼を評価する上司は、誰もいなかった。むしろ、要領よく上司にアピールして、人の手柄を時には盗むようなあざとさを持った人が評価されがちです。目に見えない力は無視される。目に見えない力に、会社は支えられ、未来も築かれているのに、ついついそのことは忘れ去られてしまうのよね。
でもね、私がたまたま彼の行いに気付いたように、正しいことをやっていれば、それを見つけてくれる人は必ずいます。何かと要領のいい人が評価されがちな世の中だからこそ、私は、「頑固なまでに真面目であれ!」と思うのよ。
27歳一般事務さんもね、ムカつくかもしれないけど、そこはニケさんの言うように、ストレスを発散してなんとか乗り切ってください。そして、「自分が好きな自分」で居続けてほしいです。
ニケ ううぅっ……。かおるしゃ~ん、ニケ、なんか泣けてきました~。ううぅ~皆さん、頑張れ~、ニケも……ヒック、が、頑張りまず~~あああぁぁ~。
文/河合薫 写真/PIXTA
記事一覧ページはこちら ⇒ 【河合薫の「女性のリアル人生相談」】
【河合薫さんのFacebookページ】でも発信されています。
フォローすれば、記事公開のタイミングも分かりますよ!
※カイシャやオシゴトにまつわる悩みをお持ちの方は、ぜひ、【日経BP社お問い合わせフォーム】よりお寄せください。その際には、必ず「河合さん連載」と明記してください。こちらの連載を通じて河合さんに回答していただけるかもしれません。個別のお返事はしておりませんので、ご了承ください。