頼りない上司でも、異動希望は真摯に相談するべし

ニケ えっ、そんなことしちゃって、だ、大ジョブですかね?

カワイ 私なら、そうします。

ニケ 「なぜ、直属の上司(=困ったちゃん)に相談しないんだ?」って聞かれたら、どうしたらいいですか?

カワイ そしたら、「ご迷惑とは思ったのですが、さんざん悩んだ結果、○○さんにまずは相談しようと思ったんです」って言えばいい。困った上司の不満をそこで言うのは懸命ではありません。

ニケ なるほど~。確かに、「上司が嫌だから異動させろ!」ってなったら、「なに、子どもみたいなこと言ってるんだ!」って、叱られそうですよね~。要するに、自分の意志、だけを伝えればいいんですね。

カワイ そうです。どんな人でも、若い人から頼られて嫌がる人はいません。案外、うれしい。それによほどのどうしようもない上司じゃない限り、前向きに悩んでいる部下を応援したいと思いますから。

 下から見上げると、「困ったちゃん上司」でも、上から見下ろすと「そんなに困ったちゃん?」ってことが往々にしてあります。下手に「不満」と「異動」をごちゃまぜにしてしまうと、「不満だから異動したいだけか」って受け止められてしまうリスクがあります。なので、そこはきっちりと線引きするのがコツです。

 もし、異動願いは二の次で、上司の困った言動に苦言を呈したいなら、一人ではなく同僚たちと徒党を組んだほうがいいですね。今、世の中は"部下サマ至上主義"なので、上も部下たちからの意見には必ず耳を傾けます。パワハラとか、ブラック企業とかレッテル貼られるのをいちばん恐れてるし、SNSで拡散なんてことになったら一巻の終わりだ~って思ってますから。そこはうまく上の心理を使えばいいんです。

ニケ ……うまく使うって、そんなことしていいのかな……。

カワイ 相談内容に書いてあることが事実なら、全く問題ありません。でも、もし、もしも、同僚に声をかけたら、逆に困った上司にチクられちゃうのが恐い、というなら、斜めの関係に相談する。

ニケ 斜めの関係?

カワイ そうです。直属の上司でもなければ、上司の上司でもない。チームや部署の違う先輩社員や、気のいいオジさん社員に、「相談に乗ってもらえますか?」って相談に乗ってもらうの。かつての日本の会社には、「相談できるオジさん」がどこの部署にもいたんですけどね。今は、そういう人は「無駄な人」として排除されてるから、自分で斜めの関係の人、を見つけなきゃだけど。そういった人を「見る目」を身に付けることは、社会人として必要なんです。

 繰り返すけど、異動の希望と上司の不満は別問題ですから、くれぐれも混同しないように! それとあともう一つ。どんなに強い気持ちがあっても、異動願いを出したからといって、即オッケーになるとは限りません。大切なことは自分の意志や思いを、届けるべき人に臆することなく送り続けること。自分で言い続けなきゃ、誰かがお膳立てしてくれるほど、世間は甘くありませんから。……私だって、そうしてますよ!

ニケ えっ? か、薫さん、まだやりたいことあるんですか? っていうか、何ですかソレ。何をやりたいんですか?

カワイ だから、届けるべき人には言ってますよ! ニケさんには……内緒です!

 

文/河合薫 写真/PIXTA

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