お酒がなくてもコミュニケーションはできる

カワイ でもいちばん嫌だったのは、「若いんだから」攻撃です。「若い=よく食べる」という訳の分からない公式がインプットされている先輩がいて、「薫ちゃん~、若いんだから、コレ食べなさいよ」って残ったお料理を押し付けられる。

 うんざりでしたよ。当時は、「会社の飲み会=残業」という発想が全くなかったので、今の人たちの割り切った考え方には、なるほど!って感心してるの。

ニケ 意外です。薫さんから、そんな言葉が出るなんて。てっきり「残業代なんてふざけんな。それくらい人間付き合いだと思え! 社会人として当たり前だ!」くらいの勢いで怒られると思ってました。

カワイ 私は、「会社の人とお酒を飲む」という行為そのものには、反対ではありません。職場では知り得ない“人”としての側面が垣間見えることは面白いし、会社では聞けないような話が聞けて、思わぬ仕事のヒントを得ることができるかもしれない。あるいは、嫌いな上司の愚痴を誰かが言い出して、それを酒のつまみに会話が盛り上がり、「なんだ、あの上司が苦手だったの自分だけじゃなかったんだ」と、ホッとすることもあるかもしれない。

 でも、上司が「コミュニケーションを円滑にしたい」と、安易にお酒を潤滑油代わりに使おうとするのは反対です。

ニケ うちの上司もそうですけど、何かっていうと「飲みに行くぞ!」って。部下とのいざこざは飲み会に連れ出せば、解決できるって思ってるオジさんいますよね~。

カワイ そうなの。オジさんたちは、「飲み会」しか思い浮かばない。飲み会意外のコミュニケーション手段を知らない。そこが最大の問題なんです。

 「部下とのコミュニケーションを図りたい、腹を割って部下の気持ちが知りたい」、そう思うならお酒は別に必要ありません。本気で、部下と「面と向き合う時間を作りたい」と思うなら、会議室でもいい。「それだと会議の延長みたい」というなら、お菓子でも並べりゃいいし、どうしても社外でというなら、ランチでもいいし、お茶でもいい。お酒の力なんか必要ない。

 飲みニケーションは、お酒が潤滑油になる人にとってはいいけど、お酒が苦手な人にとってはまるで罰ゲーム。わざわざ就業時間外に拘束する必要もまったくありません。

ニケ 飲み会にしちゃったほうが、オジさんたちが楽なんじゃないですか?

カワイ その通りです。面と向かって話すのって、案外骨の折れる作業ですからね。それを放棄しただけ。そんな安易な上司の飲み会は行かなくていいです。