「営業成績トップなのに、同期の男性に先を越された……!」リアル人生相談の第19回は、そんな営業女性の悩みです。健康社会学者の河合薫さんが、アラサー独身会社員代表・ニケさんと軽快に、しかし大真面目に答えます。

あるあるカイシャ事件簿Vol.19
「出世術を知りたい」

 私は入社したときから、同期の男性に負けないように頑張ってきました。残業だってしたし、休日出勤もした。成績は常にトップで、得意先からの高い評価をいただいています。
 ところが「昇格確実」と言われていたのに、同期の男性に先を越されてしまいました。
 なぜ、営業成績もいい私がなれなかったのか、全く理解できません。1回も彼に営業成績で負けたことはありませんし、私は後輩たちの面倒も積極的にみているので、チームにも貢献しています。
 唯一、彼に負けていることがあるとすれば、「ボスマネジメント力」です。
 私はタバコを吸ったこともなく、吸う人も嫌いです。媚びを売るような姿勢も拒否しています。上司たちとの飲み会は、100%参加はしていません。
 そんなことが昇進に影響しているとは思いたくなかったので、上長との面談で「なぜ、彼に先を越されたのか?」と聞いてみました。
 そしたら、「実力もある。評判も良い。ただ社内アピールが足りない」と言われてしまいました。
 これっておかしくないですか? 社内アピールして昇格できるなら、今までは何だったんでしょうか? 全く腑に落ちません。
 河合さん、組織で生きていくためには、上司に媚を売らなきゃダメなんでしょうか?
(入社9年目・正社員31歳)

(C)PIXTA
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ニケ 私、媚売る人、嫌い~。

カワイ でも、会社の中に山ほどいるでしょ? 米つきバッタみたいな人。

ニケ (笑) なんですか、米つきバッタって?

カワイ 部下たちの前では絶対に下げない頭を、トップの前に立った途端、ヘーコラ米つきバッタのように頭を上下させる人。

 そういう人って、いつもは部下が急かしても走ることなんて絶対ないくせに、トップが乗るエレベーターを止めるためには見たこともないような猛ダッシュを見せるのよ。しかも、そのタイミングとスムーズさといったら、まさしく絶妙で。

 「さすが~これぞ、サラリーマン」と、内心拍手してしまうような人よ。

ニケ アッハハ、笑える~。うちの会社でいうと……“ゴマメ”ですね! ゴマスリがうまくて、マメなんで、ゴマメ。半端ないんですよ~。奥さんとお嬢さんの誕生日に贈り物を送ったり、息子の留学先まで世話をするんですよ。仕事はたいしてできないんですけど、上司からの評価はかなり高くて。むかつきます~。

カワイ 上司にとって、そういう部下はかわいいヤツ。「ゴマスリ=気遣い力の高さ」といった評価につながっていくの。

ニケ なんだか納得できないな~。ただのゴマスリですよ~。それって仕事じゃないし~。あ~やだやだ。ってことは、相談者の人も「営業行くより、媚を売れ!」ってことですか?

カワイ んなわけないでしょう。そんなことしてたら会社つぶれちゃうし、いくらなんでもそこまでアホな上司はいません。ただ、どんな上司であれ、部下は「扱いやすい」方がいいのは事実です。