「ちっとも進まない」――差別撤廃啓蒙の歴史
カワイ ニケさん、「ポジティブ・アクション」って言葉は分かる?
ニケ ポジティブに行動するってことですか?
カワイ じゃ、「アファーマティブ・アクション」は?
ニケ アホーマティブアクションなら、アホに行動するってことだと思うのですが……。
カワイ それ、いい! 面白いわね! あ、ダメダメ。思わずニケペースにはまるとこだった。あぶないあぶない……。
「ポジティブ・アクション」、別名「アファーマティブ・アクション」は、1960年代にアメリカで始まった「差別を積極的に是正する措置」です。当時、アメリカでは人種差別を禁じる法律ができたのだけど、どんなに「人種差別はいけません」とか、「肌の色の違いで機会が奪われるようなことがあってはいけません」と啓蒙しても、ちっとも差別がなくなりませんでした。
そこで強制的に差別される人たちが抱える「重石」を見える化して、すべての人がより良く生きられるための、すべての人の尊厳を守るための、強制的な動きをスタートさせた。それが「ポジティブ・アクション」です。
ニケ そっか。差別の歴史というのは、人種差別から始まっているんですね。
カワイ そうです。時代の移り変わりとともに、人種から、ジェンダー(性別)の視点がクローズアップされるようになり、国連で「女子差別撤廃条約」が採択された。なので、今はポジティブ・アクションは、ジェンダー視点が一般的になっているの。政治家の男女の比率を定めた「クオーター制」が、まさしくこれです。
ニケ ってことは、日本も「女性の管理職を増やしましょう」っていっても、ち~っとも増えなかったから、「2020年、女性管理職30%」って目標を上げたんですね。
カワイ その通りです。それでも思うように進んでいない。インセンティブを与えているだけで、強制的ではないから、結局は「トップ次第」になっているの。
ニケ でも、なんで30%?
カワイ あ~、これはまたちょっと長くなるので、来週にお話しします! いいかな?
ニケ いいで~す! 今日は「差別」と「機会の平等」の歴史が分かったんで、来週に続きをお願いします。
カワイ では、そういうことで。皆さん、また来週ね!
文/河合薫 写真/PIXTA
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