異物は排除されるか同化するか

カワイ カンターによると、「000000000000」の男性陣が「1」の女性をアウトサイダーとして扱ったり、男社会への忠誠心なるものを強要する行動をとったりしていて、紅一点の女性は、排除されるか、同化するか、はたまた、屈辱的な扱いをされることに耐えるしかないという状況が、インダスコ社で実際に生じていました。

 排除とは、会社を辞めてしまうこと。耐えるとは、セクハラに耐えること。で、同化は……。

ニケ 「スカートをはいたおじさんになる」ってことですね。……ってことは、うちのメチャ怖い女性部長も「0」より「1」の被害者かもしれないんですね。

カワイ 環境の被害者といったほうがいいかもしれません。どんな環境に身を置くかは、私たちが想像する以上に大切です。環境で人は変わります。トークンの占める割合が10%未満だと、女性登用のメリットは期待できない。

ニケ じゃ、女性管理職を増やしても、意味ないじゃないですかぁ~。

カワイ だからこそ30%を目指す必要がある。つまり、女性比率30%が「女性活躍」の出発点です。

 トークンが10%未満だとスカートをはいたおじさんになり、10~15%未満だと女性たちは少数派としてまとまるようになります。でも、多数派の男性たちは、「女たちは結束すると面倒臭い」だの、「女たちは徒党を組むから怖い」だの、「女は勝手だの」と、自分たちの優位性を保とうとする。

ニケ あ、それ! 私たちよく言われます! だから女はめんどくさ~いって(怒)。

カワイ そんな男性たちにも、トークンの割合が30%程度になると変化が起こります。

 「女性の視点は興味深い」などと、女性の意見に耳を傾けるようになる。男性たちはなんやかんやいって、男社会の常識で生きてきました。いわゆる「前例」を踏襲して生きている。その前例を切り崩してくれるのが、女性のまなざしです。

 男性たちが「当たり前」とか「仕方がない」と諦めていたことが、女性にとっては「なんでそれが当たり前なのか?」「なんで仕方がないのか?」ちっとも理解できない。女性によって、硬直化した組織に風穴があくの。

 つまり、ポジティブ・アクションで、数値目標を30%にしてそれが達成できれば、組織が新しく生まれ変わる可能性が高まります。男性たちがず~っと真っ正面から見ていたことを、女性たちが横や斜めから見るので、ひらめきが生まれます。