「人」として振る舞うことの大切さ

カワイ　ニケさん、松下幸之助って知ってるわよね？

ニケ　知ってます！ カリスマ経営者です！ 確か……、えっと、なんだっけ？ 「トイレ経営」でしたっけ？ トイレを掃除すれば生産性が上がるとかなんとか言った人ですよね？

カワイ　半分正解、半分不正解！ 松下幸之助さんの「トイレ経営」は、社員が誰もしていなかったトイレ掃除を、松下さんが便器に手を突っ込んで始めたことがきっかけでした。

　社員たちは一番尊敬している、一番大事な“大将”が便所掃除をしている。自分たちもやらなきゃ！ って一人、また一人、とトイレ掃除を始めたの。

ニケ　大将って呼ばれてたんだ。昭和だから？ しかも、自分でトイレ掃除って。社長さんだったら、誰かに指示すれば良かったのに～。

カワイ　松下さんはね、「大将」と親しみを込めて社員から呼ばれるほど、社員と距離が近かったの。一人の人として社員と向き合う瞬間を大切にしていた“大将”がトイレ掃除を始めたから、社員たちは「自分たちもやらなきゃ」と掃除を始めたんです。

　掃除をするのは当たり前のこと。組織のためとか、会社の生産性のためじゃなく、人として当たり前のことをやり続けなさい。掃除はしんどいし、面倒かもしれないけど、それをやることが自己鍛錬にもなる。会社員である前に「人」として生きなさいってことを、松下さんは伝えたかったのよ。

ニケ　人、としてか～。ってことは、相談者の人は「プチ松下幸之助」をやったってことですね。すごい！ プチ大将！ すごい！

カワイ　その通りです。なので、これからも今までの1年、彼女がやった「人」として振る舞うこと、メンバーたちと「人」として接する瞬間を大切にすること。その気持ちを忘れなければ、自ずと本来の業務でもいい結果につながっていくと思いますよ！

ニケ　薫さん！ 私、決めました！ これからは「女将」を目指します！ 女将です！ 頑張ります！

カワイ　女将……？ ううむ……。まっ、いっか……。

文／河合薫　写真／PIXTA

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