40歳の自分を想像してみよう

カワイ 彼女は管理職になって、事務職の人たちの仕事の進行状況をチェックして、計画通りに進めることが仕事になりました。最初は前任者の仕事を引き継いだだけだったけど、「もっとコミュニケーションが取れたら、効率よくできるんじゃないかな」と考えて、朝5分間ミーティングを始めたの。各自が「今日の私の仕事」を報告するようにしたのね。つまり、仕事の見える化です。

 そしたらね、「それ私もやるから一緒にやります」とか、「それはまとめてお願いできますか」とか、みんなが工夫をするようになった。それでね、20代の部下がこう言ったの。「春川さんが課長になってよかった」って。

ニケ 春川さん?

カワイ あ、彼女の名前ね。そう、春川さんはね、この一言を聞いたとき「仕事って面白い」って初めて思ったと言っていました。

ニケ 大変なことの先には、ちょっとだけうれしいことが待ってるってことでしょうか?

カワイ 動物園で暮らすアフリカゾウより、サバンナで常に天敵の恐怖にさらされているアフリカゾウのほうが長生きするという報告もあります。トップはヒラ社員より長生きするという調査結果もあるし、ね。その差を生むのが「自分で自由に決められる権利」だとされているの。自分で決められるという自由を得ることで、職務満足感や人生満足感が高まり、時には寿命まで左右するのよ。

 どう? それでもやっぱり管理職になりたくない?

ニケ うぅ~、ニケの場合、今の仕事にすっごく満足しているわけじゃないんです。キャリアアップしたいって気持ちもあるんです。でも、残業が増えるのは……。

カワイ 管理職になって、残業を減らす工夫をする自由だって持てるのよ。もちろんそれは簡単なことじゃないかもしれない。でも、他の部署の課長さんと協力してやればいい。自分が嫌だと思っていることは、みんなも嫌。その嫌を管理職になって、自由をちょっとだけ得られれば変えられる。それにね、40歳になったときのことを考えてみたことある?

ニケ 40歳のときは結婚はしていたいです!

カワイ 仕事は?

ニケ 今の職場にいると思います。転職するのも大変そうだし。

40歳になったときのことを想像してみよう (C) PIXTA
40歳になったときのことを想像してみよう (C) PIXTA

カワイ 40歳でヒラ。何も責任がない。確かにラクかもしれません。でもね、それは「あなたじゃなくてもいい」ってことでもある。そうなりたくなければ、ヒラの仕事をプロ中のプロになるまで磨く必要があります。私は管理職になることがすべてとは思いません。ヒラに残り続けるという選択があってもいいです。そのときは現場のプロになると覚悟してほしい。それは決して甘い道のりではありませんよ。

 でも、もし、管理職になったら今とは違う40歳になれる可能性を、新しい環境が作ってくれます。なので、管理職になるチャンスがあるなら、どんどんチャレンジしてほしいです。

ニケ 分かりました……。34歳マーケティングさん、管理職になって、管理職のイメージ変えてください!

カワイ ノリでなるのもよし、ヒラのプロを目指すもよし、踏ん張れ!

ニケ 応援してますよ~。ではでは、またね~。

文/河合薫 写真/PIXTA

この連載は、毎週月曜日に公開。下記の記事一覧ページに新しい記事がアップされますので、ぜひ、ブックマークして、お楽しみください!
記事一覧ページはこちら ⇒ 【河合薫の「女性のリアル人生相談」】

【河合薫さんのFacebookページ】でも発信されています。
フォローすれば、記事公開のタイミングも分かりますよ!

※カイシャやオシゴトにまつわる悩みをお持ちの方は、ぜひ、【日経BP社お問い合わせフォーム】よりお寄せください。その際には、必ず「河合さん連載」と明記してください。こちらの連載を通じて河合さんに回答していただけるかもしれません。個別のお返事はしておりませんので、ご了承ください。