「それはセクハラです」と声を上げる
ニケ あの、薫さんもセクハラされたことあるんですか?
カワイ ありますよ。でもたいていの場合は笑って流してきました。だって、下手に不愉快な態度を取って、「別にアンタに興味があって、聞いているわけじゃないよ」とか、「もういい年なんだから」とか、「気取ってるんじゃないよ」なんて言われるの嫌でしょ。
でもね……、気持ち悪いっていうか、気色悪いっていうか。そんな下品な話は他でしてほしいし、「なんで私が、あなたの興味に答えなきゃならないわけ?」って思ってましたよ。表向きは笑い飛ばしていても、心がミシミシと音を立てて凹んでいくのよね。
ニケ ってことは、薫さんでも我慢してるくらいだから、32歳研究開発さんも、26歳総務さんも、我慢するしかないってことなんしょうか……。
カワイ 私とは違って、彼女たちは日常的にセクハラを受けているわけですよね? だとしたら、我慢する必要なし。
ニケ じゃあ、どうやってやめさせればいいんですか? っていうかそれが相談ですね(苦笑)。
カワイ 模範回答は、「人事部に相談しなさい」「上司に訴えなさい」です。でも、私はまずは「ソレ、セクハラですよ~」と、口に出すことから始めるのがいいと思っているのよ。
よほど悪質なセクハラ魔じゃない限り、セクハラを繰り返す人のほとんどは、「相手が嫌がっている」ということに気付いていないだけ。それを気付かせることから始めてほしいの。
確かにセクハラ魔は後を絶たないのだけど、社会には確実に「セクハラはダメ」という空気は熟成されています。なので、勇気を出して声を上げることで、「あなたの行為は問題です」というメッセージを出してほしい。
ニケ ソレ、結構勇気いりますよ~。それにセクハラ魔がそれで変わるとは思えないんですけど……。
カワイ それでもまずは声を上げてほしいです。たいていセクハラ魔は男性社員にも「オマエは結婚する能力ないのか?」とか「子どもの作り方知らないんじゃないか?」って、平気で言う人。あなたが声を上げれば、「それはセクハラです」と同じように声を上げる人は出てくるはずです。
ニケ でも、何も変わらない場合は?
カワイ 「やめてください!」と言ってください。仮に「生意気な女だ」と思われたとしても、「そんな下品な男、嫌われて結構!」と突っぱねられるくらいの気概は持ってほしいです。その分、仕事にまい進して、仕事でやっつければいい。
ニケ じゃあ、もし、福岡の女性みたいに上司の上司から嫌がらせされたら?
カワイ その先のことは、声を上げてみてダメだったときに考えましょう。今日はここまで。
ニケ 黙ってちゃダメってことですね! ノーと言える勇気ある女性を、ニケも目指します!
文/河合薫 写真/PIXTA
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