言葉が必要とは限らない
カワイ さっき、いろいろと例え話をしたけど、その中でいちばん効果的なのは、「電話口でケラケラ笑って楽しそうに話してたら、自分も笑顔になってみる」といった、言葉のないコミュニケーションです。
ニケさん、打ち合わせのとき言ってたじゃない。電車の中で太陽の光りがまぶし~って思ってたら、座ってた男子学生がシェードを下げてくれたって。彼は窓に背を向けて座っているから、まぶしさなんて感じてなかった。でも、ニケさんがまぶしそうにしてるのに気付いたってことですよね?
これが共感力です。ニケさん、胸キュンしちゃったんでしょ? 学生さんに!
ニケ そ~なんですぅ~。隣に座ってた40くらいのオジさんとか、全く気付かないで、気持ちよさそ~にダラ~っとした顔しちゃって。「こっちはアンタが気持ち良さそうにしてる、ヒ・カ・リがまぶしいんだよ!」ってムカつきました~。
カワイ 気持ち良さそうにしてるだけでむかつかれるオジさんも気の毒だけど、男子学生のアクションはうれしいですよね。これが共感です。
ニケ そっか! 何となく分かってきました。うちの部署にすごい無口な新人クンがいて、私メンター役をひと月やったんです。とにかく無口だから会話が弾まなくて、メンターやるのすごいストレスだったんですね。
ところが、うちのメロが死んじゃって落ち込んでる時に、「これ元気出ますよ!」って長州力のDVD貸してくれたんです。最初何がなにやら分からなかったんですけど、家でDVD見たらメチャくだらなくて面白くて。私はメロのことも、ショックだったことも何も言っていないのに、彼は「元気ない」ことを察してくれた。それから彼のメンターするのが楽しくなって、普通に話もできるようになりました。
カワイ コミュニケーションというと、みんなどう話しかけたらいいのか? とか、どんな話題で、どういった言葉を使えばいいのかって、伝えることばかり考えますよね。でも、コミュニケーションの主導権は常に受け手にあります。なので、相手をおもんばかることなくしてこみゅにけーしょんは成立しません。
私は小4のときにアメリカに引っ越して、アメリカ人の中に一人放り込まれました。話しかけられても英語が一つも分からない。でも、みんなニコニコしながら話しかけてくるから、私もとにかくニコニコしたの。そしたらなぜか友だちができた。次から次へと、「キャオル~」って遊んでくれる友だちができていったの。ニコニコが言葉の壁を越えた。ニコニコでつながったの。
ニケ へ~、なんかええ話やな~。
カワイ なぜ関西弁? それにメロって誰?
ニケ メロはカブトムシです! 近くの公園で見つけたんで、毎日リンゴあげて大切に飼ってたのに。朝起きたら、動かなくなってて。メチャクチャショックで。1日、超ブルーだったんですぅ。
カワイ カブトムシ!? あああ、ああ、そう。そっか。……そうね、はい。今日はこれにて終了! また、来週~。
文/河合薫 写真/PIXTA
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