人とのつながり方は年齢とともに変化していく

ニケ 実はニケ、同期のはなちゃんに彼のことを話したことがあるんですね。そしたら飲み会で、そのことみんなにバラされちゃって。「ニケちゃんの彼氏さんはミュージシャンなんです!」って。そしたら「芸能人と付き合ってるの。すごい!」とか「今度サインもらってきて!」とか。部長なんて「東京ドームでコンサートやるときはVIP席に招待してくれよ!」とか……すっごいイヤだったんですぅ。だって、彼はそんなに売れてないし。

カワイ はなちゃんとは? 疎遠になった?

ニケ 「きのうはポロッと言っちゃってごめんね!」って謝られたので許してあげました。

カワイ でも、その事件以来、プライベートな話題はしなくなった?

ニケ はい。ぜ~ったいにしません。ニケが傷つくだけだもん。「会社の友人とプライベートでは付き合わない」が鉄則です。だから、28歳独身さんの気持ち、すご~く分かるんですぅ!

カワイ まあ、そこまできっちり線引きする必要もないし、「この先もずっとこうなのか」ってことはないし。人とのつながり方も、おのずと量から質に移行していくから、心配しなくて大丈夫ですよ。

ニケ 量から質?

カワイ そうです。人とのつながり方は年齢で変わってくるの。10代~20代は「広い人間関係」が、30代~50代は「質の高い人間関係」がメインになって、そういうつながりの中で幸福感が高まっていく。これまで世界各地で行われた「人とのつながりに関する研究」で、一貫して得られた結果です。
 つまり、「仕事の話しかしない、できない」とか、「プライベートの話ができない」ではなくて、話の内容に関係なく「互いに分かり合える人」「自分の本心を出せる人」といった「心の距離感の近い人間関係」を次第に構築できるようになりますよ。

ニケ ってことは、ある日突然、親友と呼べる人ができるかもしれないってことですね!

カワイ 会社の友人なのか、学生時代の友人なのか、はたまた新しく出会う人か分からないけど、心の扉が自然に「パ~ン」と開く瞬間がくるので、その時、自分のありのままを話せばいい。
 かっこ悪い自分、情けない自分。自分でも認めたくないような愚かな自分を、心が赴くままに話す。

ニケ ってことは、相手からある日突然、それまで話してなかったような心情を打ち明けられることもあるかもしれない?

カワイ はい、その通りです。そのときは「スマイル・アイコンタクト・うなずき・姿勢」を意識して、相手の話をきちんと聞いてくださいね。

ニケ 笑顔で、相手の目を見て、「うん、うん」ってうなずき、きちんと背筋を伸ばして聞いたり、ちょっと前のめりに聞いたりってことですか?

カワイ そうです。それだけで、相手との関係性の心理的ハードルが下がって、心の距離感が縮まります。話し上手は聞き上手なのよ。

ニケ そっか~。でも、いつそういう人に会えるんだろう。それまで寂しいですぅ。

カワイ 孤独な時間も大人になるためには必要な時間ですよ。

ニケ でも、一人って寂しい。

カワイ 人には、常に誰かと関わり、向き合い、つながりたい欲求がある。そのつながる相手が「自分」になると、自分が成長できるのよ。それは聞き上手になる第一歩です。