「育休宣言」の説明責任を果たさないまま

 今さら言っても遅いっちゃあ遅いのだが、彼は「育児休暇宣言」をしたときに、きちんと記者会見をすべきだった。

 そう。なぜ、「育休宣言」したのか? と。

 毎朝9時に出勤する必要も、時間的な身体拘束も少ない国会議員である“自分”が、なぜ、批判を受けてでも、「育児休暇取得という前例を作る必要」があるかを、きちんと説明する必要があった。

 ところが、彼はそれを「私たち」に説明することもないままに、テレビの追いかけ取材で、妻である金子議員を自宅でいたわる姿や、家事をする場面をカメラに収めさせた。ただただ“感情”に訴える言動しかとらなかったのである。

 イクメン議員連盟の発起人の柚木道義議員までもが、「国会議員が率先して休暇制度を作って利用するだけで、果たして一般の実情を変えることができるのか」と懐疑的見解を示していたのに、彼はなに一つその「疑念」に答えようとしなかった。

※イクメン議連は「イクメン」を増やしていくことを目的として、2012年6月13日に発足した超党派の議員連盟。「男性の育児休業取得率の上昇をはじめ、父親の育児参加の促進や、母親との育児分担を進めるための諸活動に積極的に取り組み、少子化傾向を改善し、長期的な視点で日本再建につなげていく」としている。

 念のため断っておくが、個人的には議員の育児休暇には賛成である。欧米の制度(代理制度やペアリング制度など)を見習って、日本の国会議員でも育休を取れるようにすべきだと考えている。

 だが、宮崎氏の育休宣言には、最初からなんとなく応援する気持ちになれなかった。

 理由は、なぜ、彼が「育休宣言」を突然したのか分からなかったから。

 「育休宣言」に至るまで、彼がどういった取り組みをしていたのか? 全く見えなくて。なんかこう、詰まるものがあるというか、スッキリしないままに、賛成派と反対派がエキセントリックにぶつかりあって。ものすごい違和感を抱かずにはいられなかったのである。

 もし、「議員が出産のため議院に出席できないときは、日数を定めて、あらかじめ議長に欠席届を提出することができる」という衆議院規則185条の、「出産」という部分を「出産または育児」と改正するために、なんらかの活動をしてたとか、「イクメン議員連盟のメンバー」として活動していたとか、「欧米の代理議員制度やペアリング制度を参考に、新たな法律を作ろう」と勉強会を重ね、活動していたとか、そういった事実があった上での、「育休宣言」なら理解できる。

 ところがアレコレいろいろと調べてみたものの、残念ながらどこにも「宮崎謙介」という文字はなかった。宮崎氏のホームページには「イクメンプロジェクト」のリンクが貼ってあるけど、「僕やってます!」という活動報告も、プロジェクトでの“彼の存在”も、見当たらなかったのである。