なぜ大物芸能人たちが動画配信に参入しているのか?

 さて最後に、なぜ元SMAPの3人や安室さん、明石家さんまさん、ダウンタウンさんなどが、次々と動画配信に参入しているのかを考えてみましょう。

 第一に、最近は、配信で何をやれるか、どこの会社でどのような番組を配信するのがふさわしいかが見えてきたことがあるように思います。

 例えば、安室さんのようなアーティストのドキュメンタリーを、長期にわたって放送するというメディアは、テレビではなく配信のほうが向いているということも理解できます。また、元SMAPの3人の番組は、生で3日間の配信となります。もしテレビだったら難しい試みですし、実現させるとしたら細かく企画を立てないと無理でしょう。また、今、本音を率直に語るには、ストリーミングのAbemaTVがふさわしいというのも納得です(もしかしたら、AbemaTVだからこそ、こういう形になったということもありそうです)。

 そして、先述のドラマ「Jimmy」や「火花」などは、きっとじっくりストーリーを作品として見せたいということがあるのではないかと思います。視聴率で結果が出てしまう作品では、広いターゲットに訴えかける作りにしないといけませんが、Netflixでは、映画に準じるような物語の描き方が可能です。

 何より現在、大物芸能人が配信に参入してきたということは、目新しくポジティブなこととして捉えられます。これが、2年後、3年後になれば状況は変わってくるかもしれませんが、少なくとも現在は、大物が配信に出演しただけで話題になります。プロモーションや、伝えたいことがあるときには、有利という性質もあるのでしょう。

 今後もいろいろな作品が見られるようになるであろう、動画配信コンテンツの世界。海外では、あのFacebookも動画配信を始めるというニュースも伝わってきていますし、Netflixは日本のクリエーターが手掛けるオリジナルアニメ作品も、世界中に配信していく予定だそうです。ネット配信では、今後も各局で個性を発揮しながら、いろんな才能がフックアップされる場所になっていくのでしょう。稲垣さん、草なぎさん、香取さんの番組や、安室さんの番組をきっかけに、いろいろ試してみてはいかがでしょうか。

今後の動画配信サービスにも注目です (C) PIXTA
今後の動画配信サービスにも注目です (C) PIXTA

文/西森路代 写真/PIXTA