衆議院選挙をはじめ、さまざまなニュースが飛び交った2017年下半期。時事芸人として朝刊紙からスポーツ紙、夕刊紙、タブロイド紙まで読み込んでいるプチ鹿島さんに、気になるニュースを解説していただきました。芸能ニュースを中心に取り上げた前編に続き、後編は稲田朋美防衛大臣の辞任、衆議院選挙、そして流行語大賞についてです。

 前編・芸能人の不倫報道、私たちはどう向き合えばいい?

プチ鹿島(ぷち・かしま)

1970年長野県生まれ。オフィス北野所属。時事ネタと読み比べを得意とする芸風で、テレビ、ラジオ等で活躍中。新聞、雑誌、Webなどにコラムを多数寄稿。著書に「芸人式新聞の読み方」(幻冬舎)など。新聞6紙全紙、スポーツ紙、タブロイド紙を購読中。

今年は「隠」の一年ではないか

――7月、稲田朋美防衛大臣が南スーダン国連平和維持活動(PKO)の日報問題を受けて辞任しました。

プチ鹿島(以下、鹿島) 稲田さんは読売新聞や産経新聞など保守派の方々の期待を集め、安倍首相の信頼も厚く防衛大臣になりましたが、新聞を読んでいると、意外と読売が早く見切りを付けていました。安倍政権が続くのを期待しているからこそ、「かばっていたらダメだ」という論調になっていて、興味深かったです。しかも内閣改造前で、もう少しで逃げ切るのかなと思ったところでの辞任でした。

 今年を表す漢字の一つは、「隠蔽」の「隠」だと思うんです。モリカケ問題も、南スーダンの日報問題も、「あの時のあれは?」となったときに、「その文章はありません」「分かりません」ということがありました。プロセスが不透明なところが、今年のニュースに共通する裏テーマの一つだったと思います。

――そのまま1年を終えようとしていますね。

鹿島 10月の衆議院選挙で、各党のマニフェストを読み比べたんです。その時に僕が一番気になったのが「情報公開」でした。

 例えば希望の党は「対自民党」という姿勢があるので、当てつけのように、マニフェストの最初に「情報公開をします」と書いています。でも、自民党と変わらないであろう憲法改正のことは後ろのほうに書いている。一方の自民党と公明党は、情報公開のことを後ろのほうに書いていました。それだけで、情報公開へのスタンスの違いが分かります。

 稲田問題は、彼女のふわふわしたキャラクターについて語られることが多かったのですが、情報公開の点では、モリカケ問題に負けない今年の大きな問題だったと思います。