ネットに活路を求める女たち

「ネットを味方にするためには、アドバイザーが必要なんです」
「ネットを味方にするためには、アドバイザーが必要なんです」

 自分の味方が少なくなるとネットに活路を求めるのは以前からある傾向で、歌手の小林幸子もかつてそうだった。2012年に事務所騒動でテレビから干され、それまで33回連続出場していたNHKの紅白歌合戦に落選した。そこで彼女が活路を見いだしたのが、ネットの動画サービス、ニコニコ生放送(以下ニコ生)だ。小林幸子は紅白で巨大衣装を披露するのがお約束だったけれど、それをニコ生で披露した。ニコ生のコミュニティーもそうしたことが好きだし、紅白と同じパフォーマンスをオレたちのところでやってくれた、ニコニコ動画のイベントにも出てくれた、と歓迎した。そうしたら、15年には紅白に返り咲き、見事な復活ストーリーになった。

 ネットを味方にするには、アドバイザーが絶対必要で、小林幸子にはよいアドバイザーがいたのだと思う。今年8月、巨大な同人誌即売会のコミックマーケット(以下、コミケ)にタレントの叶姉妹が参加したが、彼女たちは、ブログを通して参加に関するアドバイスを乞うたり、自分たちがどう思われているかをネットでチェックするなどといった長い準備をしていた。コスプレも2017年の早い段階から披露し、評判になったりもしていた。彼女たちは事前にコミケにどう参加したらいいのかをきっちり把握していて、ネットで評判がよかったんだ。コミケ会場では事前にサインをした本などが売り切れた後も名刺を自分たちで配るといった対応をするなど、ネット民がどう思うかをすごく考えていた。コミケならではの文化をちゃんと把握せずに、今年の冬コミケに参加を表明するも炎上して、参加を撤回した女優の真木よう子とは対照的だ。

 一方、政治の世界でも女たちが爆発した。

 まずは、元・衆議院議員の豊田真由子。6月に「週刊新潮」に秘書への暴言・暴行を報じる記事が掲載され、秘書への「このハゲ~!」という暴言の生音声が繰り返しテレビで流れた彼女は、実はネットで人気者になった。「このハゲ~!」がネット民にウケたんだ。

 ハゲている人は、ハゲネタになるとみんなで傷をなめ合う文化が昔からあるから、「オレもまゆたんに(『このハゲー~!』と)言われたい」みたいな、自虐ネタになった。ハゲを表現するちょっとかわいい顔文字というかアスキーアートがあるんだけど、ネットの彼女の話題ではこれが多用されている。

こちらがハゲを表現するアスキーアートです
こちらがハゲを表現するアスキーアートです

 10月の衆議院選挙(以下衆院選)のときもすごい生暖かい感じながらも人気で、完全にたたくムードはなく、彼女がハゲと一緒に写っている写真を、ネット民はなんとか見つけようとしていた。実際、ハゲ芸人・ユリオカ超特Qが彼女を直撃して「(ハゲを)代表して許します。」などと言って、ニュースになった。「このハゲ~!」だから人気が出たので、「このブサイク~!」だったら、豊田真由子は人気者にはならなかった。

 同じ女性政治家でも、不倫疑惑が取り沙汰された山尾志桜里のほうがネットでは人気がない。