「格差受容社会」の到来を前にすべきこと

高山:実は、ファイナンシャル・プランナーもロボットに代替されてしまう職業リストに上がっていたんですよ。頑張らなくてはと思いましたね。

中野:ファイナンシャル・プランナーはどうか分かりませんが(笑)、単純な仕事は真っ先になくなるでしょうね。つまり突出した能力を身に付けられなければ、職を失い生きていけなくなってしまうということです。グローバル化やIT化の波に負けないためには、自分にしかできない「オンリーワン」の能力を身につけることが大切なんです。

高山:昔は、経済も右肩上がりで、会社の制度も年功序列、終身雇用が当たり前だったので、努力しなくても普通に生きていればなんとかなった恵まれた時代だったんですね。

中野:年功序列、終身雇用が崩壊し、時代が大きく変化した今、それなりの収入を得続けるためには、知識、人脈、スキルなどを磨いていくことが必須なんですよ。特に考える力、思考する力を伸ばすことは大切ですね。

高山:努力する人としない人では大きく差がでそうですね。まさに、10年もたてば格差がさらに広がっている気がします。

中野:収入、教育、あらゆるものに差が出てくるようになると言っても過言ではありません。個人間で結果に差がつき、それを受容する「格差受容社会」が到来すると考えています。ただし、努力を惜しまずに前向きに生きていきたい人、社会で輝きたい人には、女性だから、高齢者だからという差別はなくなり、たくさんのチャンスが訪れるようになるともいえます。日経ウーマンオンライン読者世代の皆さんには、この状況をチャンスと捉えて、自分の新しい可能性に挑戦し続けてほしいと思います。

聞き手・文/高山一恵 写真/PIXTA

プロフィール
中野 晴啓
セゾン投信社長
中野晴啓(なかの・はるひろ)さん
1987年クレディセゾン入社。セゾングループ内で投資顧問事業を立ち上げ運用責任者として資金運用等を手がける。2006年セゾン投信を設立。公益財団法人セゾン文化財団理事、一般社団法人投資信託協会理事。全国各地で年間150回講演やセミナーを開催。著書に「個人型確定拠出年金iDeCoで選ぶべきこの7本!」(ビジネス社)、「お金のウソ」(ダイヤモンド社)など多数

高山 一恵
Money&You取締役/ファイナンシャルプランナー
高山一恵(たかやま・かずえ)さん
2005年に女性向けFPオフィス、エフピーウーマンを設立。10年間取締役を務めた後、現職へ。女性と女性FPのマッチングメディア「FP Cafe」を運営。全国での講演活動、執筆・相談業務を通じて、女性の人生に不可欠なお金の知識を伝えている。著書に「やってみたらこんなにおトク! 税制優遇のおいしいいただき方」(きんざい)、「1000円から増やす積み立て投資術」 (スタンダーズ)」など多数