あの頃の自分へ、何を伝えたい?

 数々の試練を乗り越え、今もなお世界で走り続けているX JAPAN。今回公開されたドキュメンタリー映画「WE ARE X」は、一時制作が流れてしまったほど、自身の過去を見つめ直す作業がつらく苦しいものだった、とYOSHIKIさんは言います。

 そんな過去を振り返り、当時の自分にどんな声を掛けたいと思ったのでしょうか。

もっと、周りの人に愛情を持って

Xポーズもいただきました  写真/小野さやか
Xポーズもいただきました  写真/小野さやか

 もっと、周りの人に愛情を持って接しなさいと言いたいですね。あの頃、周りは僕に付いてきていると思って突っ走っていたけれど、振り向いたら自分だけ先にいた。結局それが解散につながったわけです。

 後悔したことない人なんて、絶対いませんよね。今回の映画で自分の過去をさらけ出すことができたのが、大きな一歩だったかなと、自分を褒めてあげたいと思います(笑)。

 誰もが、自分が主人公の「人生」というドラマの中に生きている。人生って、すべてが成功していたら面白くないじゃないですか。挫折があるからこそ、成功した瞬間がうれしいんであって、何もかもうまくいく人生だったら、ドラマとして成り立たないんじゃないかなって思うんですよね。

 人って、年を重ねることによって身体は衰えていったとしても、経験を積んで厚みを増していく生き物ですよね。だから、僕はこれからまだまだ自分のピークは来るんじゃないかなって期待していて。

 よく「人生の折り返し地点」って言うけれど、折り返さなくたって良いと思ってる。ずっと人生のピークに向かって突き進んだって良いんじゃないかなって思うし、僕はそうやって走り続けていたいですね、これからもずっと。

聞き手・文/尾崎悠子 写真/小野さやか

映画「WE ARE X」は、全国の映画館にて公開中。詳しくは公式サイトまで。


X JAPAN 『WE ARE X』オリジナル・サウンドトラック(ソニー・ミュージック)
発売中
UK Top 40 Rock Albumチャートで1位を獲得したた事も大きな話題となったX JAPANのドキュメンタリー映画「WE ARE X」のサウンドトラック。映画のエンディング・テーマでYOSHIKI書き下ろしの新曲「La Venus」のアコースティック・ヴァージョンを初収録。

<取材後記>
二十ウン年前、人生で初めて見たコンサートがX JAPANでした。私の青春はX JAPANから始まったと言っても過言ではありません。当時からカリスマ性溢れていたYOSHIKIさん。実際お会いしてみると、とても温かくてふんわりとしたオーラに包まれた“優しくて素敵なお兄さん”でした