エリック・クラプトンの「いとしのレイラ」や「ワンダフル・トゥナイト」、ジョージ・ハリスンの「サムシング」……。伝説的なロックの名曲は、彼女がいなかったら生まれなかったかもしれない。イギリス人のモデルで写真家のパティ・ボイドさんは、ビートルズのジョージ・ハリスンとエリック・クラプトンの元妻であり、1960年代以降、ビートルズをはじめ多くのロックスターたちを撮影してきた。その写真展「George, Eric&Me~パティが見たあの頃~」 が現在、東京・銀座の「リコーイメージングスクエア銀座ギャラリーA.W.P」と西麻布の「ギャラリーE&M西麻布」で開催されている。日本初の写真展を記念して来日したパティ・ボイドさんに、彼らとの日々について聞いた。

聞き手・文/安原ゆかり(日経WOMAN編集長) 写真/大槻純一(インタビュー)

パティ・ボイド  本名パトリシア・アン・ボイド。1944年イギリス生まれ。高校を卒業後、化粧品会社で働いていたときにモデルとしてスカウトされる。「VOGUE」の表紙を飾るなど活躍し、19歳のときにビートルズの映画「ビートルズがやって来るヤァヤァヤァ!」に出演してジョージ・ハリスンと出会い、1966年に結婚。しかしジョージがインド宗教に深く傾倒したことなどをきっかけに関係が悪化し、1974年に離婚。ジョージの親友のエリック・クラプトンと1979年に結婚するが、クラプトンのアルコール依存症や度重なる浮気により1989年に離婚。その後、プロの写真家となり、2005年以来、世界中で写真展を開く。2007年に自伝「プルーク」「ワンダフル・トゥデイ」を刊行、ベストセラーとなった。邦訳は「パティ・ボイド自伝」(パティ・ボイド、ペニー・ジュノー著、前むつみ訳/シンコー・ミュージック)。

――ファッションモデルをしていた19歳のあなたと1歳年上のジョージ・ハリスンとの出会いは1964年。ビートルズの映画「ビートルズがやって来るヤァヤァヤァ!」に、あなたが女子高生役で出演したのがきっかけですね。ジョージは、あなたに出会ったその日に「僕と結婚してくれる?」とプロポーズしたとか。2年後の1966年に二人は結婚し、新婚時代を過ごしたロンドン郊外の一軒家で撮影したのが、今回の写真展にも展示されている「Pattie & George’s Rose Garden」。赤いバラとあなたとジョージがとても印象的な1枚です。

 「キンファウンス」という名前の付いたモダンな平屋で、プールの脇の目隠し用の柵に私が植えたバラが、とてもきれいに咲きました。バラだけを撮影するよりも、ジョージと私がその前に立ったら面白いわと思って、三脚を立ててカメラを置いて、セルフタイマーで撮影したんです。でもその準備に時間がかかってしまって、自動シャッターが下りるときには、ジョージはすっかり飽きてしまい、そっぽを向いた写真になってしまっています(笑)。

Pattie&George’s Rose Garden(パティとジョージの薔薇園)パティ・ボイド撮影
「1968年、トライポッドを準備して、当時の自宅「キンファウンス」の庭に初めて咲いた薔薇と私たち二人を撮影したもの。カメラをトライポッドに乗せて、シャッターが下りるのを待っている私と、退屈してよそ見をしているジョージ」