隣にバケツを置いて生放送に出演

 「時代の大きな転換期で、世界中の目が国際ニュースに集まっていました。当時の衛星放送にはキャスターが数人しかいなかったので、私は通常の番組以外に数々の特番に出ずっぱり。さまざまな専門家を次々とインタビューしたり、討論の場を仕切ったり。日本に来る要人を片っ端からインタビューし、サミット取材にも行きました。大きな時代の節目にたまたま国際ニュースを担当したことによって、私にとって喉から手がでるほど欲しかった“経験”というものを数多く積むことができたのです」

 連日、長時間にわたる生放送の番組に出続け、それ以外の時間は打ち合わせやインタビューの準備、取材に費やす。1日の睡眠時間は3時間が当たり前で、5時間取れれば「今日はよく眠れた」ほうだった。終わりの見えない激務の日々を支えたのは、「この稀有なチャンスを絶対にものにしたい」という強い思いだった。

 「とにかくその頃は、眠い、疲れた、なんて感じるよりも、チャンスをいただけるだけでうれしくてうれしくて仕方がなかった。たとえ体調が悪くても、つらいとか、休みたいとは思わないんです。39度の熱があっても、吐きそうになっても隣にバケツを置いて、番組に出続けました。“誰にも代わってほしくない”という気持ちで、目の前のチャンスに対してとことん貪欲になれましたね」

 体力の限界に挑戦しながら国際情勢を伝え続けて4年、「キャスターとしてようやく自信が持てるようになった」頃に舞い込んできたのが、1993年にNHK総合テレビで始まる『クローズアップ現代』のキャスターという大役。「自分は総合テレビでは通用しなかった」という苦い思いを払拭するチャンスが巡ってきたのだ。

取材・文/藤川明日香(日経WOMAN編集部) 写真/洞澤佐智子

こちらの記事は日経WOMAN5月号「旬な人」の国谷裕子さんのインタビューを大幅に加筆したもので、全5回シリーズで公開しています。
第4回はこちら ⇒ 国谷裕子さん「たった一つの伝えたいこと」を探り続けた

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