「ここで120%の力を出して伝説の営業担当になりたい」

 自称「責任マニア」というだけあって、ハードワークほどやりがいを感じ、充実した日々を過ごしていた毛見さんだが、担当していた地域は保守的な風潮が根強く、苦労したこともあった。

 「当時の学校業界は管理職などの意思決定者は男性がほとんどで、営業に行っても『わしは女とは口をきかん』なんて言われたこともありました。でも、女性だからと軽く見られるのも、裏を返せば注目されているということですよね。マイノリティであることは得だと私はずっと思っているんです。男性だと十把ひとからげにされちゃうところも、やり方次第で提案を通すことができる。それに、自分がすんなり受け入れられる存在ではないところで120パーセントの力を出して伝説の営業担当者になったら、すごい自信になると思ったんです

妄想でもいい 自分のやりたいことを信じれば雑音が入らなくなる

 うまくいかないことを環境のせいにせず、発想を切り替えて成果を出す。ポジティブな姿勢を貫けたのは「30歳で起業」という将来の目標がしっかりあったからだ。

 「根拠がなくても、妄想レベルでも、とにかく自分がやりたいと思うことを信じ切っちゃうこと。そうすると、目先のいろんな雑音がどうでもよくなります。こういう性格は子どもの頃からですね。中学2、3年のころにすごくいじめられていたんですが、その時も『この何カ月かは長い人生のほんの一過性のできごと。この人たちとずっと同じクラスじゃない』って暗示をかけていました。

時間は有限 後悔しないように今やりたいことをやりたい

 そういう風に長い時間軸で自分の状況を客観視できるのは、やはり祖母の影響です。京都のお寺の出身で、『たくさんのものを持つことではなく、人のために何かをして感謝されることのほうが、人生の最後に大きな満足となって残る。そういう生き方をしなさい』といつも聞かされていました。それと、高校時代の友人が、大学1年生の時に若年性のガンで亡くなってしまったんです。初めて出会った身近な人の死は、時間は有限だということ、後で後悔しないように今思ったことは今やらなくてはいけないということを強く教えてくれました

 次回は、コンサルティング会社への転職を経て毛見さんが自身の会社を起業し、kay me立ち上げに至る過程について伺います。

文/谷口絵美 写真/鈴木愛子

大阪で開催の WOMAN EXPO 2016で毛見さんの話が聞ける!


「あきらめないで自分らしいキャリアをつかむ方法」


●日時:7月30日(土)15:00~15:45
●場所:ハービスHALL(大阪・梅田)
◆詳細・お申込みはこちら
http://woman-expo.com/osaka/session/session-detail?m=1&eid=15
◆詳細はこちらから ⇒ http://woman-expo.com/

【毛見純子さんインタビュー 全3回】
●第1回「『パリス・ヒルトンならどうする?』で妄想を実現した」
●第2回「『まず3人に電話』仮説と検証から生まれたワンピース」
●第3回「『エレガントは戦法』 服で女性の成功を支援する」

毛見純子(けみ・じゅんこ)

maojian works代表取締役、kay me代表兼リードデザイナー。大阪府出身。早稲田大学第一文学部卒業後、ベネッセコーポレーションに入社。5年間の営業職を経て、コンサルティング会社に転職する。プライスウォーターハウスクーパースで組織人事、ボストンコンサルティンググループで経営戦略のコンサルティングに携わる。2008年にマーケティング支援や新規事業開発支援を行う「maojian works」を設立。2011年、社内事業としてアパレルブランド「kay me」を立ち上げた。2015年、ロンドンに「kay me international」を設立し、販売を開始。同年、英国商業会議所主催の「2015アントレプレナー・オブ・ザ・イヤー」を受賞。
「kay me」はオンラインショップのほか、銀座本店や梅田店、小田急新宿店などの直営店でも販売。
URL:http://www.kayme.jp