その後も、病死、事故死あるいは自死などで多くの同級生や仲のいい友人を失い、多くのお葬式に足を運ぶ中で、布施さんはある違和感を抱くようになった。

“らしくない”葬儀に違和感

「ご葬儀と本人のキャラクターのミスマッチを強く感じたのです。なんだか『あの人らしくない』と。生前どれほどおしゃれで個性的な人であったとしても、ほとんどの場合、昔ながらの画一的なスタイルのお葬式で送られていきます。もちろん、若い人が突然亡くなるわけですから、本人もご家族も、ほぼなにも準備できないままご葬儀の日を迎えることになり、仕方がないことなのかもしれません。ですが、友人としては、どこかきちんと送り切れていないような、割り切れない思い、違和感がありました」

 一方、ある友人のお別れの会を友人たちと協力して開いたときは、心からお別れができた、と感じることができたという。「そのお別れの会では、友人たちが集まり、生前の姿や仕事などを振り返ることで、気持ちを整理することができ、故人の死を正面から受け止め、その思いを継いでいこう、という気持ちになれたんです」

 こうした経験を通して、布施さんは若いうちから「いつか必ず訪れる自分の死に対してきちんと準備しておきたい」という思いを抱くようになった。中でも、骨壺は「一番最後に自分が入る家」という感覚があり、「私はあの真っ白な骨壺には入りたくない。私が入りたい骨壺をつくりたい」という思いが、「美しい骨壺」を生み出すきっかけとなった。

 *後編の公開日は5月20日(金)です。お楽しみに。

文/井上佐保子 写真/鈴木愛子

布施美佳子(ふせ・みかこ)

COVER クリエイティブプロデューサー。アパレルメーカーを経て、1999年にバンダイに入社。アパレル事業部でガールズブリーフ「mi・ke・ra」などをヒットさせる。2014年にCOVERに出向し、仮装アイテム「かぶるかみぶくろ」などを企画した後、フューネラルグッズブランド「GRAVE TOKYO」を立ち上げる。「GRAVE TOKYO」は2015年末の「エンディング産業展」に出展、注目を集める。