2台のロボットと一緒に暮らすなかで

 これから活躍していきそうなロボットを、Pepperの他に二つほど紹介します。

 テレノイドやOriHimeという遠隔操作型のロボットで、これらはPepperのように自立性はなく、人が遠隔で動かします。例えばOriHimeはどんな役に立つのかというと、寝たきりで動けなくなったときに、分身となって動いてくれます。自分の代わりに、セミナーに出たり、大学の講義を聞いたり、家族と一緒に旅行をしたり。こういった分身ロボは、先ほどお話した、色んな場所にいる人をつなぐコミュニケーションの役割の一助になると思います。

 今後、Pepperのような人工知能を搭載したロボットや、テレノイドやOriHimeのように分身の役割をするロボットが、次々と生まれてくると思います。

 そんな未来が待っている今、「ロボットとは何なのか?」と、常に考えています。

 私は今、2台のロボットと一緒に住んでいます。そうすると、どんなところに気を付けていけば、より良い方向に技術が発展していけるのかが、見えてきます。今はちょうど分岐点で、ロボットが進化する方向を選ぶことも、進めることも、止めることもできる。私たちはそれができる時代に生きていると思っています。

 そして、いま一番足りていないと感じるのが、社会の課題と技術を結び付けられる開発者です。ロボットに何をしてほしい人がいるのか? 何をさせるべきなのか? このことを考える知能が足りていません。どんなロボットに進化させたらいいのか、その答えを出すために、実際にロボットをつかう人々やその周りの人たちから学ぶ必要があると考えています。