『貧血大国・日本 放置されてきた国民病の原因と対策』(光文社新書)が話題になっている。著者は社会人2年目、弱冠27歳の医師・山本佳奈さん。産婦人科医を目指す中、大学在学時に貧血が妊婦に及ぼす大きな問題を知ったことをきっかけに、貧血をテーマにした研究を始めた。現在は研修医として、福島県の南相馬市立総合病院に勤務する。白衣へのあこがれが、医師を目指したきっかけという山本さん。飾らない語り口の山本さんに、ご自身のキャリア選択について、本を出すことになったいきさつ、そしてなぜ貧血が怖いのかを伺った。

医師を目指した矢先に振りかかった試練

山本佳奈(やまもと・かな)
1989年滋賀県生まれ。医師。私立四天王寺中学・高等学校卒業。2013年3月、滋賀医科大学卒業、医師免許取得。同年4月より福島県の南相馬市立総合病院に勤務。大学時代から、医学博士・上昌広氏の下で貧血を中心に医療全般について研究している。

 私がもともと医師を目指したのは、白衣にあこがれたからなんです。

 父は会社員ですし、親戚にも医者はいない。だから、医師という職業は本やドラマからのイメージしかありませんでした。この職業を目指したのは、通っていた中高一貫の進学校で医・歯・薬系学部を目指す学生が多かったという環境も影響していたと思います。

 実は、中学・高校時代にダイエットをしているうちに、いつの間にか食事量が極端に減ってしまい、病院の閉鎖病棟に入れられたことがあります。拒食症です。振り返ると、ちょうど、医学部を目指すと決意し猛烈に勉強を始めた高校1年生からだんだんおかしくなってきたように思います。

 学校から家に帰ったらすぐ部屋に入って勉強をする。そのうち、食べなくてもお腹が減らなくなり、クッキーを齧るとか、ジュースを飲むぐらいになってしまった。一生懸命になるとストイックに打ち込み、周りが見えなくなってしまうところがあるんです。両親も心配しながらなかなか私に言えなかったようで、とうとう学校の担任の先生から病院に行けと言われました。高校2年生の冬のことです。