体重は30kg以下に

退院後、復学するも受験勉強に追いつけず、1年浪人。そして、大学に入学後もモチベーションの維持に悩んだと山本さんは言います。
退院後、復学するも受験勉強に追いつけず、1年浪人。そして、大学に入学後もモチベーションの維持に悩んだと山本さんは言います。

 病院に行ったとき、体重は30キロを切っていました。

 即入院で、40キロを超えるまでは退院させないと閉鎖病棟に入れられました。どんぶり一杯のご飯が毎食出て、開発途上国でも配られるような高カロリーの栄養剤を摂るように言われる。しかも、勉強するな、動くなという。自分では摂食障害という意識はないし、最初は「どうしてこんなところに入れられなきゃいけないの?」と思っていたのですが、体重が増えないまま3月になると、「あ、本当にこのままでは出られないんだ」と、受験に間に合わないと焦り、そこからひたすら食べました。

 高校3年生になって4月には復学したのですが、もうこの時点では遅くて、受験勉強についていけない。体力も戻っていない。結局、1年浪人することになりました。

 そうした壁を乗り越えて、翌年には無事滋賀医科大学に合格。ところが、最初は勉学に打ち込むことができませんでした。というのも、大学の1年から2年の半ばまではほぼ一般教養のみ。興味が持てないうえに、モチベーションが下がり、「こんな状態が続くのは嫌だ」と思ったこともあります。部活動に打ち込もうかとも思いましたが、やりたい部活もない。

 悶々としていたときに、友人に当時東京大学医科学研究所の特任教授でいらした上昌広先生(現・特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所理事長)を紹介してもらい、その研究室に足を運ぶようになったのです。