貧血の意外な原因と症状

ダイエットがなぜ貧血の原因となるのか?
ダイエットがなぜ貧血の原因となるのか?

 今は研修医としてお産にも立ち会い、改めて産婦人科医になりたいと感じています。お産に立ち会うと感動するんです。

 妊婦の中には、「最近氷が食べたくて仕方がない」「氷菓が食べたい」という人が少なくありません。これは「異食症」といって、貧血(ここでは鉄欠乏性貧血のこと、以下同様)の症状がある人に見られる症状です。知識としては知っていたのですが、実際に目の当たりにするのは初めてでした。1カ月に3人もの異食症の妊婦が訪れることもありました。

 妊婦だけではなく貧血は現代日本人に非常に多い症状です。鉄剤を飲めば症状は改善するのですが、吐き気などの副作用が出て飲めない人も多い。

 ダイエットも貧血を引き起こす主な原因の一つです。摂取カロリーを減らすために食べる量を減らすと相対的に鉄も減るからです。その上、運動もするとダブルパンチ。なぜ運動が貧血と関係があるかというと、筋肉の中にあるタンパク質の一種は鉄に酸素をくっつけて蓄えるから。筋肉の量が増えると鉄をより蓄えるようになるので、貧血になりやすくなるというわけです。

 また、大量の汗をかくスポーツでは、汗から流れ出てしまう鉄分で貧血になることが少なくありません。通常の発汗であれば体外に排出されるまでに再吸収されるのですが、急激な発汗ではそれが追い付かないのです。健康を意識して運動を始めた人が、日中の仕事が集中できなくなった、だるいなどの貧血症状で外来に来られるケースをよく見ます。また、30~40代の女性で多いのは、子宮筋腫で経血量が多くなることが原因となる貧血です。