妊娠のタイミングは

 働く女性が多くなり、出産年齢も高くなってきています。キャリアも大事だし、食事が不規則になったりするけれど、ダイエットもしたい。そんな時期に出産の年齢が重なる。でも、いざ子どもが欲しいと思ったときに貧血を改善しようと思っても、すぐに治すことはできません。前回「ダイエットで20キロ台に…貧血に警鐘を鳴らす女医」でお話したように、貧血状態はすぐに回復するものではないからです。

 女性はキャリアを考える中、出産年齢について迷いがあるのではないかと思います。40代でも授かる方はいますし、一概にいつ出産するのがいいとは言えないのですが、やはり20代が一番妊娠しやすく40代になると可能性が低くなってきます。私自身は30歳になったら子どもを持つことを考えたいと思っています。

 30歳頃は仕事に一番脂がのるときで、妊娠は避けたいと思う人は多いでしょう。でも、私は長い人生、1年ぐらいのブランクはあってもいいのではないかと思います。私は、摂食障害のために、大学に入る前に1年間の浪人生活を送らざるを得ませんでした。ただ、今はそれが私の人生で大きなプラスになっています。摂食障害を起こしていた頃、おそらく鉄分不足から、肌は荒れ放題でいつもめまいがしていました。そうした経験も、貧血について大きな問題意識を持つきっかけになったと思います。

 貧血ついては、まだそのメカニズムがすべて分かっているわけではありません。調べれば調べるほど、奥が深い世界です。これからも、男女を問わずより広く貧血が抱える問題について知っていただけるよう啓蒙活動を続けていきたいと思います。

文/大塚千春、写真/稲垣純也


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