頼ること・弱みを見せることは、迷惑なのか?

「経済的自立、それでいて一人で頑張らない。これが大事だと思います」(おかざきさん)
「経済的自立、それでいて一人で頑張らない。これが大事だと思います」(おかざきさん)

おかざき:私が大事だと思うのは、一人でも食べていけること、そして一人にならないことです。まず経済的自立、それでいて一人で頑張らない。周りに自分を支えてくれる人をたくさん持っておくといいですよね。

中川:頼ることは迷惑って思いがちですよね。でも頼られたほうはそうでもないんですよ。僕も最近、仕事を吹っ飛ばしそうになったりSNSでケンカしたりして、心がささくれ立っていたのを、うちの社員に頼ってグチを聞いてもらったらすごく落ち着いた。弱味は見せるのが、自分が追い詰められないための一つの方法ですよね。

おかざき:特にフリーランスは一人でいちゃだめですね、一人だとつらいスパイラルに入ってしまうから。しんどさと自分は切り離しておかなきゃいけない。今私にとってその役割をしてくれるのは子どもなんですが、今思春期で荷を絶対に持ってくれない相手でも、一緒にいるのは大事です。しんどさはいつか必ず時間とともに薄れますからね。一人になったときにしんどさを見つめてしまうといけないんですね。今仏教の漫画連載をしているのでその影響もありますが、世の中とはもともと大変なもので、自分とはきちんと分けよと。大変なものに我を持って対峙するのでなくて、自分は無色透明なものとしてただ在ればよいと。

中川:広告業界でも大御所と付き合ってみるといいかなと思って。すごい力を持っている人は結構弱音を吐くんですよ。神のように崇められている嶋浩一郎さんでさえ、分からないことを僕に聞いてくれる。そうすると、頼られてうれしいなと思う。この人に頼られるということは、この人みたいになれるんじゃないかって。

おかざき:私、佐藤可士和さん(*)が一つ上で、箭内道彦くん(*)が同期で。二人ともすごく尊敬していて、私にとって高いところにいる人たちですけれど、私は根が気楽なので、頑張ったらあそこまで行けると思えるのは楽しみです。箭内くん、入社したばかりの頃は「スーツ着たくない」って言ってた(笑)。その彼があんなに遠くに行けるのは、楽しそうだなぁ、って。

* 佐藤可士和さん…ユニクロやセブンイレブンなど、数多くの企業のブランディングを手掛けるクリエイティブディレクター
* 箭内道彦さん…タワーレコード「NO MUSIC, NO LIFE.キャンペーン」、サントリー「ほろよい」などを手掛けるクリエイター。「風とロック」編集長。