モデルとして数々の雑誌のカバーを飾るほか、女優としても活動するなど、年々活躍の場を広げている中村アンさん。そんな彼女の新たな挑戦が今、注目を集めている。それは、声優。世界的な大ブームを巻き起こした『ファインディング・ニモ』の続編として、16日から公開された『ファインディング・ドリー』に吹替版キャストとして参加しているのだ。

未経験の仕事には想定外のハードルがあらわれることも

 「仕事でもなんでもそうですが、“できない”と思い込んでいたら、いつまで経ってもできない。だから、“できる”と信じて頑張りたいんです」と、明るい笑顔を見せる中村アンさん。映画『ファインディング・ドリー』では、ジンベエザメのデスティニーの声に挑戦している。

「『できる、できる、できる……』と信じて努力するうちにできることって、ありますよね。子どもの頃に鉄棒の練習をしていたときもそうだった。大人になっても同じことが言えると思うんです」

 とはいえ、信じる気持ちがどんなに強くても、思いがけない障壁が目の前に立ちはだかることもある。今回の吹替に挑む中でも、大きなハードルがあらわれた。

「吹替をするうち、『恥ずかしい』という感情が湧いてきたんです。バラエティ番組などでも自分をさらけ出しているし、始めるまではまったく抵抗感がなかったのに」

 今回の吹替版の収録は、一人ずつ別々に行なわれている。そのため、たった一人で画面に向かいながら、ときにはテンションを上げて大声を出したり、ときには「クジラ語」と呼ばれるユーモラスな言葉を操ったりする必要があった。

「いきなりテンションを上げようと思っても難しくて……。初めのうちは気持ちが状況についていかず、照れくさかったですね。でも徐々に、そんな感情も消えていきました。仕事の邪魔をする“恥ずかしさ”というハードルを超えられたことは、私にとって大きな一歩だったと思います」

 ストーリーを読み込んで、その世界観を繰り返し頭に思い描く。演出監督の指導のもとで収録を積み重ねる。そうして手探りで前進するうち、手強い壁を突破して今回のミッションをクリアすることができたのだと言う。

「難関を前にして、尻込みしてしまうこともある。でも、手にしたチャンスを生かしたいから『できる、できる、できる……』と自分を奮い立たせています。ケースバイケースではありますが、思い切って前向きに進んでいきたいんです」