チャンスを呼び込むための“目標の掲げ方”

 こうして大役を成し遂げた中村さん。次は、どんなことに挑戦してみたいと考えているのだろうか。

「今は『何を頑張りたい』と限定してしまわずに、とにかくいろいろなことに取り組んでみたいと思っています。目の前にある一つひとつの課題に励む中でこそ、大きなチャンスが舞い込んでくるという実感もありますから」

 ディズニー/ピクサー映画に携わることは、はるか遠い夢の一つだった。そしてその夢は、ショートスパンで設定した目標に向かって一歩一歩進むうち、いつの間にか手にしていた。

「私には、遠くて夢のような目標ではなく、現実的な目標を意識するほうが合っているみたいです。たとえば、3年後を期限として『これが欲しい』『こんな仕事をしていたい』というような、今の自分の少し先を行く目標です。仕事でも恋愛でも、結果を出して幸せを掴んでいる人って、ただなんとなく突き進むのではなく、自分の強みや弱みを知り、明確な目標に向かって努力していると思うんですよね」

 そんな中村さんが感じている、自身の“弱み”とは何だろう。ちなみに、今回の『ファインディング・ドリー』のメインキャラクターは、それぞれが弱みを抱えている。主人公のドリーは忘れんぼうで、ニモの父親のマーリンは心配性で慎重になりすぎることも。そして、中村さんが演じるデスティニーにも、視力が弱くて泳ぐのが苦手というウィークポイントがある。

「実は私は、太りやすい体質なんです。油断するとすぐに太ってしまうので、モデルの仕事を続けていくためにも体型維持には気を使っていますね。ボディメイクのためのトレーニングなど、日々の努力を怠らないように心掛けています」

 モデル、女優と活動の幅を広げる中で、世界的な話題作に声優として参加するという好機を得た中村さん。彼女にビッグチャンスが巡ってくるのは、単に強運だからではない。常に冷静に自分を見つめ、コツコツと着実に努力をする。そして、新しい挑戦のたびに壁を乗り越えてパワーアップしながら目標に向かう。そんな姿勢が、また新たなチャンスを呼び込むのだろう。

「ファインディング・ドリー」
あの『ファインディング・ニモ』の奇跡の冒険から1年――。カクレクマノミのニモの親友で、何でもすぐに忘れてしまうナンヨウハギのドリーが、ただひとつ忘れなかった「家族の思い出」。その謎を求めて、新たな冒険が始まる。

監督:アンドリュー・スタントン、共同監督:アンガス・マクレーン
日本語吹替版キャスト
ドリー:室井滋、マーリン:木梨憲武、ハンク:上川隆也、デスティニー:中村アン

7月16日(土)ロードショー/http://www.disney.co.jp/movie/dory
中村アン

1987年9月17日生まれ、東京都出身。雑誌『andGIRL』『BAILA』にてレギュラーモデルを務めるなどファッション誌で活躍するほか、女性ターゲット商品のCMでもお馴染み。7月22日放送のドラマ10『水族館ガール』第5話(NHK総合、金曜22時〜)に出演するほか、7月21日(木)夜10時スタートのフジテレビ系列「営業部長 吉良奈津子」に今西朋美役で出演。

取材・文/西門 和美 写真/小野 さやか