歌手を夢見て上京。夢破れてまさかの…
――高校卒業後にまた転機が?
小嶋:実は私、小さい頃から「歌手になりたい」という夢を持っていまして……。歌うことも大好きだったので、高校卒業後は両親に「チャレンジさせてほしい」と頼み込んで上京したんです。
――歌手、ですか。それはまた大きな夢ですが、夢をかなえるためにどんな生活を送っていたんですか。
小嶋:一人暮らしをして、アルバイトをしながら、歌のレッスンに通ったり、オーディションを受けたりする生活を送っていました。ある時、デビュー前のAIさんのデモテープを聞く機会がありまして、その時に、スパッと歌手の夢を断念しました。
デモテープから伝わってくるAIさんのパワフルな歌声に圧倒されたのです。瞬間的に「ああ、私はどんなに頑張ってもこの人を越えられない」と感じてしまいました。確か、20、21歳の頃のことです。
――「夢」だったものを、そんなにすんなりと諦められたのですか。
小嶋:はい。私は決断が速いほうなんですよ。歌手はすっぱり諦めましたね。その後、はて、何をやろうか……となりました。当時、アルバイトをしていたのはアパレル販売の仕事で、私はかなり売り上げがよかったため、「正社員になって、販売の指導係になってほしい」というオファーもあったのですが、ずっとこの仕事でいいのだろうか? と思うとそうでもない気がして、結局お断りしてしまいました。
一方、実家からは「いいかげんアパートを引き払って早く帰ってきなさい」と言われ、「どうしよう。実家に帰りたくない」と迷っていた時にご縁があった方がいまして。ご両親にも気に入っていただき、一緒に住み始めて間もなく、その男性と結婚することになりました。24歳の時でした。
――え! そんなふうに勢いで結婚して大丈夫だったのですか。
小嶋:私自身、早く結婚しようと思っていたわけでもなかったので、自分でもびっくりしました(笑)。すぐに長男を授かり、妻になり、母になり、慌ただしい日々を過ごしていました。
結婚、出産、離婚そして初めてのパソコン
小嶋:そうこうするうち、次男も生まれ、専業主婦になりました。数年たって、家事にも育児にも慣れて、いろいろ考える時間ができてきました。実は当時、夫とうまくいっていなくて、暴力を受けることもあったんです。子どものために我慢していましたが、子どもに対して声を荒げた彼を見た瞬間、「もう無理だ!」と思い、離婚を決意。二人の子どもを連れて家を出たのです。
――そこで、お子さん二人をシングルマザーで育てていこう、と決意したというわけですね。
小嶋:いえ……。それが……。決意した時点でも、私は離婚後にどうするのか、深く考えていませんでした。