壁にぶつかるたびにいい方向に転がる理由

――それから、今の会社を立ち上げることにつながったんですか。

小嶋:以前からお付き合いのあった今の会社の社長から、「働く主婦をサポートするようなサービスを立ち上げたいから、よければキックオフに参加してくれないか」と誘ってもらったのがきっかけです。

 事業立ち上げまでの1年ほどは業務委託という形で関わり、2017年1月の事業スタートとともに入社しました。「モリンガ」というスーパーフードを主軸とした栄養補助食品の卸しと商品プロデュースを手掛けるネオベジを設立し、COOに就任しました。事業を通じて忙しく働く主婦や女性たちの栄養面をサポートしたいと思っています。私自身も働きながら子育てをしているので、同じような立場で、頑張っている女性たちのロールモデルでありたいという思いがありますね。

 こんな人生を歩んできたので、今、何か「やりたい」と思うことがあるのにちゅうちょしているという人がいたら、すぐに一歩を踏み出してみてほしい! とアドバイスしたいです。まず先に足を踏み出してから、「どうしたらできるかな?」と考えてみても、意外となんとかなっていくものです。

 結婚しても子どもを産んでも自分の好きなことはできるし、やったことがないことでも、やりたい気持ちさえあれば始められるんだ、ということをもっと発信していきたいですね。そのためには、今の仕事を着実に進めて、会社もしっかり育て、自分自身が成功し、体現していきたいと思っています。

「みんなに、『大丈夫!』と伝えたいんです。そのために私も実績を積んでいきたい」
「みんなに、『大丈夫!』と伝えたいんです。そのために私も実績を積んでいきたい」

 9歳と11歳になった子どもたちは、すっかり家庭の戦力になりました。野球で汚れた服は自分で洗いますし、ごはんも作れます。自立できるほどの家事能力です。平日は仕事に思い切り取り組んで、週末は子どもの野球のコーチをしています。これから伸びていく子どもたちにノウハウを伝えていく、チームづくりを伝えていく。試行錯誤していますが、すべて仕事に役立っていますね。

――本当にパワフルですね。小嶋さんの半生はなんとも豪快な感じですが、ピンチが訪れてもなぜか次のチャンスにつながっていくところが不思議ですね。

小嶋:もちろん、つらい、しんどい思いで泣くこともありましたよ。でも泣きながらどこかで自分を客観視して「泣いている自分」に浸っていることもよくあります(笑)。ひとしきり泣いたら、さあ、次どうしようかと考える。そうやって一歩一歩進んできました。

 誰かに「あなたのいいところはどんなところですか?」と聞かれたら、私は迷いなく「運がいいところです」と答えます。私は人との出会いにも恵まれているし、何かにぶつかるたびに、なぜかいい方向へ転がって、ここまで来ました。そんなことがあるたびに「私は生かされているんだな」と感じるんです。「生かされている」のは「何かの使命があるからなのじゃないか」と最近、考えるようになりました。

 今は、自分のためではなく、世の中全体になにかインパクトを残すような仕事をしたい、そう思って働いています。

文/井上佐保子 写真/鈴木愛子