物事を「お得」の軸だけで判断すると危険

高山:アメリカ人と日本人の社会に対する姿勢の違いが、寄付金額の違いに表れているんですね。

中野:寄付もそうですが、アメリカ人と日本人の資産構成にも違いが大きく出ていますよね。多くのアメリカ人は、長期で積立投資とかをやっているんですよ。それに、資産の半分以上は、投資商品で運用しています。一方、日本人はどうですか? あれだけ税制上のメリットをうたっているのに、iDeCo(個人型確定拠出年金)にもなかなか加入しない人が多い。

高山:確かにそうですね。

中野:アメリカ人がなぜ、投資をしているか。もちろん、お金を増やしたいということもあるでしょうけど、投資をすることで、経済が循環し、結果的に社会貢献につながることが分かっているからなんですよ。日本人はどうかというと、資産のほとんどは、預貯金じゃないですか。これは、自分の手元にただ抱え込んでいるだけで、経済の発展にもつながらないし、社会貢献にもなりませんよ。

高山:自分のお得ばかりを追求すると、視野が狭くなりますね。

中野:物事を判断するときに「お得」基準を持ち続けると、本質を見失います。そもそも寄付するのにお得じゃないとダメなんて、考え方として下品過ぎます。

「寄付」の本来の意味を再確認しよう (C) PIXTA
「寄付」の本来の意味を再確認しよう (C) PIXTA