1日3分だけでも、自分を変えられる

――「継続は力なり」ですね。続けられるモチベーションは何でしょうか?

道端:小さなステップで積み重ねること、そんな自分を肯定してあげることかなと思います。私は1日3分の「テレビ体操」から始めたんですよ。

 私がデビューした1990年代はカモシカみたいな脚をしたモデルさんが世界的に主流で、やはり私も10代の頃は少し体重が増えたと感じると食事制限などをしていました。でも2000年代に入ると、世界のファッション界の美の基準が、ガラリと変化しました。

 これまでは服のラインを美しく見せるために、痩せ過ぎているモデルさんが起用されてきました。そのため、モデルさんの中には無理なダイエットなどで拒食症になってしまうということも少なくなかったようです。また、痩せ過ぎたファッションモデルが「完成された美しい女性像」であると、多くの世の女性たちが誤った認識をしてしまうのはよくないということから、モデルさんの主流はワークアウトされた「健康美」にシフトしました。

 健康的なほうが美しい、ワークアウトして筋肉をつけよう――という方向に時代の流れが変化した頃、私は2004年に25歳で出産しました。産後に体形を戻すためにエクササイズを始めようとしたタイミングで、妹のジェシカから「新しいヨガスクールができたから一緒に通ってみよう」と誘われ、ヨガスクールに入会。そしてジムでも筋トレを始めました。産後に運動を取り入れたことで、体が変わっていくことを実感したんです。

 その3年後に二人目を産んだ後、また運動すればいいと思ったんですけど、新生児と3歳児がいて、ジムにもランニングにも行けない。そこでNHKの「テレビ体操」を始めました。毎日3分の体操です。「おかあさんといっしょ」を上の子と一緒に見ていて、その前にやってたんですね。

 テレビ体操とかラジオ体操って、子どもの頃にやっても、もともと体が柔軟だから、なんのためにやるの? って不思議なんですよね。でも大人になると体が固まっているから、「イタタタ! 伸びる! 気持ちいい!」など、いろいろと発見があるんです。終えた後にすごくすっきりして、次の日もっと体がほぐれている。これを産後から10カ月続けて、継続するって楽しいことなんだなあ、と実感できたんですね。

「3分間のテレビ体操を産後10カ月間ずっと継続したことが、すべての始まりでした」

 3分間の体操というハードルの低いところから始めることで、続ける楽しさを覚えて自信にもつながる。いつしか朝30分走ることができるという力になり、また次の目標へステップアップしていけたんじゃないかなと思っています。

 毎朝30分走ることは「すごくストイックだな」と思われるかもしれません。「さあ走ろう」とスニーカー買ってきていざ走り始めたとしても、想像よりも大変で、3日坊主になってしまう人も多いと思います。ジムに入会してもいつしか行かなくなるじゃないですか。でも3分間ぐらいにハードルを低くしてあげれば、継続できそうですよね。それで「私、産後のトレーニングを続けているんだよ」と人に話したり、自分を褒めてあげたりもできます。だからあまり上を見過ぎずに、小さなステップで積み重ねるって、いいことばかりなんです。

 今でも私はトークショーなどで「産後に体形を戻す時にどうしたらいいですか?」と聞かれると、「テレビ体操は気持ちよくて続けやすくていいですよ」と答えています。

――テレビ体操という小さなステップがトライアスロンに続いたんですね。

道端:トライアスロンって言うと、ハードルが高いイメージを皆さん持たれるようです。でも私がやっているオリンピック・ディスタンス(合計51.5km)は、スイム・バイク・ランの3種目をきちんとつなげられれば、そんなに大変ではないはず。小さな準備を3種目それぞれに積み重ねるんです。半年くらい続けて、大会でいいゴールができると、今度はもっといいゴールを、と目標が膨らんでいきます。