信頼している人のススメならきっとやれる

――どのような経緯で、作詞やラジオなどの仕事に関わるようになったんでしょうか。

 3社目の退職からおよそ2カ月後に、四つ目の仕事が決まりました。1社目のレコード会社のときの同僚が立ち上げた音楽プロデュース会社「アゲハスプリングス」を手伝うというものです。

 「宣伝プランをまとめたり、CDの資料を作ったりする人がいない」と言われたので、バイト気分で引き受けたんです。そしたら今度は、作詞もやってみてと言われて。「いや、それはちょっとジャンルが違う!」って一度は断りかけたんです。

 でも、社長(玉井健二氏)はかつての同僚。その社長が「君ならできる」って言うのなら、それを信じてみようと思いました。彼については「人の隠れた能力を見抜く」のが得意な人だと感じていたので。

 私が働くうえで決めているのは、「信頼している人に勧められた仕事は、できると信じてやってみる」ということ。自分の良さや実力を、自分自身が完全に理解しているとは限らないと思うんですよね。未経験のことでも、相手を信じて一度は鵜呑みにしてみるのがいいんじゃないかなって。

 ラジオに出演するようになったのも、その後帯番組を持つようになったのも、信頼しているプロデューサーに「できるよ!」と強く勧めてもらったことがきっかけなんです。

***

 明日は、ジェーン・スーさんに訪れた二度目の転機「ラジオへの出演」について、そして現在に至るまでの軌跡について伺います。

文/樋口可奈子(ライター)