お守りアイテムがもたらす、内なる自信

稲田 僕も人口の多い団塊ジュニアとして、蹴落とすか負けるかみたいな環境下にずっと放り込まれてきたので 、セーラームーン世代から学びたいコミュニケーション術はたくさんあります。魅力的な彼女たちですけど、一方でなぜか婚活がうまくいかないって嘆いている人も周りに多いんですよね。これが不思議。

辛酸 有能すぎて、相手の男性が劣等感を持ってしまうんですかね。

稲田 悲しいことに、男はどこまでいっても優位に立ちたい生き物ですから……。

辛酸 セーラームーン世代は男性性も女性性も兼ね備えた「完全体」なのかもしれませんね。そこでというわけでもないですが、私は男性ももっとスピリチュアルを取り入れた方が生きやすくなると思うんです。稲田さんはあまりお好きじゃないですか。

稲田 好き嫌いというより、強い言葉で言うと「うさんくせえ」となってしまう(笑)。でも、こういう波動が脳にいい影響を与えますみたいな感じで、論拠がきちんと分かれば納得がいくと思います。

辛酸 論拠とか科学的なことではないんですよね。知人からも「男性の前では絶対“チャクラ”って言うな」って注意されるんですけど、最近ではメンタル面とフィジカル面からパワーをもらえるエッセンスとかもあるんですよ。これ、最新製品のサンプルです。よかったらどうぞ(試供品を手渡す)。

「お守りアイテムはあってもいい」
「お守りアイテムはあってもいい」

稲田 ありがとうございます。原稿に煮詰まったときに飲んでみます。なめ子さんはこういったスピリチュアルなものの力を借りてコミュニケーションを取ることもありますか。

辛酸 はい。プラシーボ(思い込み)もあるとは思いますが、卑屈にならないためにも、アロマでもエッセンスでもいいので自分なりのお守りアイテムを使って内なる自信が生み出せれば、コミュニケーションにも役立つのではないかと思います。

稲田 空元気でも空自信でも、ないよりはいいですよね。あと、これもコミュニケーション術の話ですけど、こういったインタビュー取材の終わり方にいつも悩むんですよ。いい締め方、ありませんか。

辛酸 「これからもご活躍をお祈りしています」ではどうでしょう。

稲田 はははは。いいですね。では早速、コミュニケーション術を通して「読者の皆様のご多幸をお祈りしています」!

文/小泉なつみ 写真/清水知恵子

対談者プロフィール
辛酸なめ子
辛酸なめ子(しんさん・なめこ)
1974年東京都生まれ、埼玉県育ち。漫画家、コラムニスト。女子学院中学校・高等学校を経て、武蔵野美術大学短期大学部デザイン科グラフィックデザイン専攻卒業。恋愛からアイドル、スピリチュアルまで幅広く執筆。著書に『女子校育ち』(ちくまプリマー新書)、『辛酸なめ子の現代社会学』(幻冬舎文庫)、などがある。

稲田豊史
稲田豊史(いなだ・とよし)
編集者/ライター
キネマ旬報社を経て2013年にフリーランス。単著に『セーラームーン世代の社会論』、企画・編集に『ヤンキーマンガガイドブック』、構成担当として『パリピ経済 パーティーピープルが市場を動かす』『ヤンキー経済 消費の主役・新保守層の正体』(ともに原田曜平・著)などがある。雑誌「サイゾー」誌上で「オトメゴコロ乱読修行」、「ZDNet Japan」で「ITは『ひみつ道具』の夢を見る」を連載中。ホームページ:http://inadatoyoshi.com

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