「知らなかったから選べなかった」という後悔はしてほしくない

――品川女子学院では女性の「28歳」をキーワードに、「28プロジェクト」を実施しているそうですね。

 私たちの世代は、残念ながら誰にも教えてもらえなかったのですが、女性は男性と違って、安全に子どもを授かる年齢にリミットがあります。それを知っておくことはとても大事だと考えています。「知らなかったから選べなかった」という後悔だけはしてほしくないから、10代の頃からかかりつけの婦人科を持つことをお勧めしたいです。

 28歳ごろまでに検査などをして自分の体がどういう状態なのか知っておく。そして、子どもを持つ人生を自分が選びたいのかどうか、一度考えておくとよいと思います。

 つまり、女性の28歳は、仕事では経験を積み、プライベートでは結婚や出産という選択肢が生まれる、人生のターニングポイントなのです。そこを目標にして逆算し、それぞれの人生の可能性を広げるライフデザイン教育が「28プロジェクト」です。

――キャリアについてはどうお考えですか?

 男性と女性ではライフイベントが違いますから、女性は「キャリアの前倒し」が必須だと感じています。出産や育児などでブランクが生じる前に、部下を持ったり、海外赴任したり、ある程度のキャリアを積んでいると、職場にも戻りやすいですよね。女性が長く働き続けるためには、早目に力をつけておくことが大切です。最近、卒業生の中でも、早く自分を鍛えられそうな外資やベンチャーをあえて選ぶ生徒が増えてきました。

 また、プライベート面では、パートナー選びも大切だと生徒には伝えています。一時の恋愛感情に加えて、自分の人生のスタンスと合う人かどうかは重要です。例えば、自分が仕事を続けたいと思っているなら、「生活者として自立している人」を選ばないと、子どもが1人増えたような負担になってしまうかもしれませんよね。家事も一緒にしてくれて、出張しても、昇進しても文句を言ったりひがんだりせずに見守ってくれる人を選ぶ。そのためには男性と、その男性の母親との関係を見るのがヒントになるかもしれません。

 「28プロジェクト」で伝えたいのは「女性も絶対に働きましょう」ということではありません。自分の人生設計は自分で選びたいよね、そのためには中高生のうちからアンテナを立てておくことが必要だよ、準備は早めにしておいたほうがよいよね、ということなんです。