注目して見るべきは、金額そのものではなく、ココ

 注目したいのは、金額そのものよりも、前年の同じ期と比べてどれだけ成長したかを示す「YoY」(対前年同期比、Year over Year/Year on Year)の数値です。この数字を読むことで、転職しようとしている会社の経営状態をざっくりと把握することができます。

 LINEの場合、「2016年の第3四半期」から「2017年の第3四半期」までの1年間で、売上は18.4%、営業利益は18.8%伸びています。

売上は18.4%、営業利益は18.8%伸びている
売上は18.4%、営業利益は18.8%伸びている

 どちらもアップしているので、経営状態は「追い風」ですね。ではこの成長率は、高いのでしょうか、低いのでしょうか。売上を私たちの「収入」だと考えて、分析してみましょう。

 まず、私たちの収入が18.8%アップするということは、去年は年収400万円だった人が、今年は年収475万円になるということです。1年で年収が75万円も上がるなんて、すごいことですよね。これと同じで、売上の成長率が18.8%の上場会社は、それほど多くありません。今回はLINEの決算に絞って見ていますが、同じような事業を展開している競合他社の成長率と比較してみると、この数字の高さを理解できるようになります。

 そして成長率が高いということは、新しいことに挑戦する資金と環境が整っているということです。つまり転職をすると、手掛ける仕事内容が目まぐるしく変化し、スピード感のある仕事が求められる可能性がある。多忙になるかもしれませんが、積極的に仕事に取り組み、さまざまなスキルを吸収したいと考えている人にとっては、幸せな働き方ができる職場だと考えることができます。

 反対に、飛躍的には伸びていないものの、緩やかな成長率をキープしている会社の場合は、新しいことにチャレンジできる機会は少ないといえるでしょう。しかし見方を変えれば、仕事とプライベートのバランスを取りながら、安定して働ける環境だと考えることもできる。どんな働き方を望むかは人それぞれですが、こうして数字を分析することで、転職先の環境を予測することができます。

 転職を考えている人は、ぜひ検討している会社や他社の決算を、読み比べてみてください。よりよい選択ができることを願っています。