ただの数字に見えるものを、「知識」に変換して役立てよう

 LINEの成長率を、Aさんという人物に置き換えて考えてみましょう。Aさんの収入が約20%も上がった背景には、一体何があったと想像できますか? 「副業がうまくいった」「営業成績がよくて昇進・昇給した」など、いろいろな理由が考えられると思います。

 一方、Aさんと同じ業界・同じ職種のBさんがいたとします。Bさんは、Aさんよりも収入が約20%低いのですが、この理由は何だと思いますか? 「出世コースから外れた」「ボーナスが出なかった」など、こちらの場合も、さまざまな理由が思い浮かぶことでしょう。

 会社の場合も同じで、時系列で比較したり他社と比べたりすることで、数字が単なる「数」ではなく、だんだんと「意味のあるもの」になります。なぜそういう結果になったのかという、「ストーリー」が見えてくるのです。この「ストーリーを読む力」は、言い換えると、「数字を知識に変換する力」のこと。数字を知識に変換してストーリーを読み解くことが、まさに決算を読むことの醍醐味といえます。

 ひふみ投信・ファンドマネジャーの藤野英人さんが、私の著書の帯に、「この本を読むと決算がドラマになる」という言葉を寄せてくれましたが、私も決算を読むことは、それぞれの会社のドラマを知ることだと思います。スキルアップやキャリアアップに役立つという側面もありますが、決算は「会社の挑戦や戦略を表すドラマ」だと思って読むと、より興味を持って、面白く読めるのではないでしょうか。

転職やスキルアップに、ぜひ役立てて下さいね (C) PIXTA
転職やスキルアップに、ぜひ役立てて下さいね (C) PIXTA

聞き手・文/青野梢 写真/PIXTA 図版/LINE


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