「叩いてOK」の風潮、引き金は?

 でも、実はこの風潮はもっと前、20年東京五輪・パラリンピックのエンブレム騒動が引き金になっているんだと思う。

 あの騒動には受賞者と審査委員が他の賞では逆の立場で、身内で賞を回しているんじゃないかとか叩きやすい点が色々あった。

 デザインコンペは広告代理店を中心に動いているんじゃないかとか、デザイン料が一般の人には驚くほど高額だとか、そういうのを見て、広告代理店というのは不当に利益をあげるクソ企業だと思われた。

 それで、「広告代理店許すまじ」という空気ができたんじゃないかと思う。

 でも、先の自殺の件で電通だけをことさら叩くのはおかしい。過労による自殺というのは、ほとんどの大企業で間違いなく起きているはずだからだ。

 実際、オレの知り合いも自殺している。これは、日本の会社の中に、過労でうつ病になったら出世が終わるなどと思ってしまう、まじめな人が多いということだ。

 死なないためには、うつ病になった時に「会社を休める、いぇい!」と言えるぐらいじゃないといけない。

 世間がうつ病を死に至る病気だと認識することも大切だ。腕を骨折したら包帯を巻いていて、パソコンが打てなくて、仕事ができないというのが分かりやすいけど、うつ病は見た目が変わらないので病気と認識されない。でも、確実に治る骨折より、うつ病はもっと深刻な病気だ。

 亡くなった女性は、会社辞めますと言えれば良かった。苦しい状況を苦しいと言える環境があるべきだと思う。

 9月には千葉の飲食チェーンの学生アルバイトが、ブラックバイトを巡り起こした全国初と言われる訴訟が報道された。ああした形で問題が出てくるようなったことは良いことだと思う。

 もう1つ、解禁となった大きなタブーはジャニーズ事務所批判だ。