「先取り貯蓄」は貯蓄のサイクルをつくる

 さて、普段から賢いお金の使い方ができているS・Tさんですが、そんな彼女にも、ちょっとした悩みがあるのだそう。彼女の悩みとは、一体何なのでしょうか?

 「毎月10万円を貯蓄に回していますが、額が多過ぎたようで、毎月少しだけ赤字になっています。赤字分は、学生時代からの貯蓄で補てんしていますが、今後は赤字にならないようにしたいです。毎月の貯蓄額をどれくらい減額するのがよいでしょうか?」

「ATMに行くのは、月に一度だけ。その月に使う予定のお金を下ろしたら、あとはそれでやりくりします」
「ATMに行くのは、月に一度だけ。その月に使う予定のお金を下ろしたら、あとはそれでやりくりします」

 この質問に対して風呂内さんは、「財形貯蓄や自動積立を利用した『先取り貯蓄』は、貯蓄のサイクルをつくるためにはとても良いことです。ただ、額が多過ぎて普段の生活が少し窮屈になっているなら、その窮屈さが改善できる金額分だけ減額するのがよいですよ」とアドバイス。

 S・Tさんは、あと1万円ほど交際費を増やせれば、少し余裕を持ってやりくりができると判断した様子。貯蓄額の問題が解決したことで、また一つ、お金の管理のコツを身に付けることができました。

ライフステージの変化に応じたお金の管理を

 お金の管理の仕方は、ライフステージの変化によっても変わります。S・Tさんも、恋人とは同棲や結婚を視野に入れて交際中。今はまだ、同棲や結婚にかかる具体的な費用などは調べてはいないそうですが、いざ実行するとなれば、環境がガラリと変わり、お金の管理の仕方も変わってきます。

 では将来、生活に変化があった場合、どういうことに注意すればよいのでしょうか。風呂内さんに聞いてみました。

節約術から投資まで、経験を生かしたユーザー目線のアドバイスが評判の風呂内さん
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 「まずは同棲をするタイミングで、お金のルールを話し合うのがよいですね。家賃や光熱費、食費などを、二人でどう管理するのか。最初のタイミングで話し合っておけば、結婚するときにも、結婚資金の貯め方や分担方法を話しやすくなります。またS・Tさんの場合は、実家暮らしという利点を最大限に利用して、今のうちにできる限り貯蓄をしながら、同棲や結婚にかかる費用を事前に調べておくのもよいですね」

 社会人1年目にして、しっかりとお金の管理ができているS・Tさん。彼女が取り組んでいる「先取り貯蓄」は、風呂内さんもオススメの方法。節約術なども、できるところはまねをして、私たちも楽しく、賢く、貯蓄に励みましょう。

取材・文/青野梢 写真/編集部

<この人に聞きました!>
風呂内 亜矢
風呂内 亜矢(ふろうち あや)さん
1978年生まれ。岡山出身。26歳のときに、貯金の80万円でマンションを衝動買いし、慌ててお金の勉強を始めたことがきっかけでFPに。著書は「その節約はキケンです」(祥伝社)、「デキる女は『抜け目』ない」(あさ出版)、「図解でわかる! 投資信託」(秀和システム)など多数。テレビやラジオ、雑誌などでも、お金に関する情報を精力的に発信中。