株価急落、私の大切なお金が減ってしまった

 世界的大暴落が起こり、大ピンチ!? ユイの「積み立て投資」に、とてもショッキングな出来事が訪れました。

 「リーマンショック級の世界規模の経済ショック」「同時多発テロの発生」「バブルが弾ける」といった出来事があれば、金融商品は大きな影響を受けます。多くの金融商品が値を下げることになり、投資信託でしっかりと分散投資をしてリスクを抑えていても、下落してしまいます。

 そんな時、多くの人は「元金を割ってしまった」「私の大切なお金が減ってしまった」「どうしよう」と困惑して嘆きます。ユイも感情的になり、うろたえました。

 ところが、ミツルおじさんは、このピンチは積み立て投資ならばチャンスに変えられると言います。それはなぜか――今回はその理由を理解していただければと思います。

「ピンチはチャンス」の意味は?

 「金融商品の価格が下がる」というのは、積み立て投資においては決して怖いことではありません。

 架空の金融商品の10年間の値段の変化で考えてみましょう。

 投資を始めた時に1万円だった商品価格が、7年目に2000円まで下がって、その後少し上がり、10年目にはスタート時の半分の価格5000円まで戻ったとします。スタート時と比べれば半分の価格まで「下がっている」ので一見怖いですよね。

 このような値動きをした商品を毎月1万円ずつコツコツ投資したとします。1年間で合計12万円、10年間で120万円を投資に回した計算になります。

 さて10年後、この120万円は一体いくらになっているでしょうか? 結論から言うと、投資した120万円は、139万円になります。増えています。

 「1万円だった商品が5000円に下がってしまったのだから、60万円ではないの?」と考えがち。いいえ、ここでは「定時定額(ドルコスト平均法)」で購入しているので、139万円になるのです。

 そのカラクリを紹介します。

 毎月1万円分を投資に回す際、商品価格が1万円であれば購入できる口数は1口。2000円に下がった時の購入口数は5口、5000円の時は2口を買っています。つまり、価格が下がった際、購入している口数は増えています。ここでは、120カ月間かけて、278.4口を購入できました。

 そして、120カ月間かけて具体的に資産がいくらになるかというと……

商品の価格 × 累計の買い付け口数 = 評価額

5000円 × 278.4口 = 139万円

 120カ月(10年)で120万円を積み立て投資し続けた結果、139万円になりました。

 もし、定時定額でなく最初に120万円まとめて一括投資していたら、120口を購入したことになります。ですので、10年後に商品の価格が5000円になった場合……

5000円 × 120口 = 60万円

 120万円は半分の60万円になってしまうというショッキングな結果になります。