「ノート術」と一口に言っても、勉強や仕事のアイデア、ライフログノートなど、さまざまなジャンルがありますよね。今回は、日経ウーマンオンラインの「賢い女子の節約レシピ」で連載中の料理研究家、宇梶由里子さんが30年以上付け続けてきたレシピノートを見せてもらいました。
とにかくメモ
今はデジタルで何でも済んでしまう時代だけれど、ノートの良さは何よりページをめくるたびに当時の空気や気持ちまでがよみがえるところ。中学生の頃付けていたというノートは、とじ糸がほつれているページもあるほど年季の入ったもの。ページをめくりながら思わず、「懐かしい……」と見入る宇梶さん。
「当時、キッチンは『母の城』だったので、私が率先して家族の夕食を作ったり……なんてことはありませんでしたが、料理は好きでした。テレビの料理番組や料理本を見て作ることが多かったですね。さらに、ケーキなどは砂糖やバターなど分量にアレンジを加えて『自分好み』の味に研究することが好きで、ノートに細かく分量をメモしながら、実験のように何度も繰り返し作っていました」
その頃は、今のようにインターネットで検索すれば、世界中のレシピがすぐ出てくる……とはいかなかった時代。
「母や、叔母など身内だけでなく、いろいろな人にレシピを聞いていました。友人の家でクリームシチューを食べたとき、あまりのおいしさに、友人のお母さんに『レシピを教えてください!』と尋ねたほど。特別な具材が入っていたわけではなかったけれど、とにかく『どんなレシピなのか、知りたい』と思いました」と宇梶さん。
その後もお店で食べた味を再現しようとしてみたり、カレーライスもさまざまな具材を入れてみたり、スパイスから作ってみたり……と、探究心が人一倍強かった宇梶さん。当時から「料理研究家」の片鱗(へんりん)を見せていたことが分かります。